エアバッグ製造大手のタカタが民事再生を申請して倒産しました。負債総額が1兆円を超える大型倒産で、製造業としては戦後最大規模です。
このような大企業がなぜ倒産に追い込まれたのか――。その背景を見てみると企業規模に関わらない、企業経営にとって重要なことが見えてきます。
タカタもそうだった「オーナー経営者=大株主」
タカタの社長(会長兼社長)である高田重久氏は、創業家の三代目にあたります。世によく言われる、「オーナー企業は、二代目がダメにして三代目がつぶす」を地で行く形となってしまったわけなのですが、これまでも事故発生から倒産に至る過程においては、経営者としての重久氏に対する批判がかなり大きな声で聞こえてきていました。
タカタのエアバッグ事故が最初に報告されたのは、2005年のこと。ホンダがタカタ製のエアバックのリコールを実施したのが08年。09年には死亡事故が発生、14年には原因不明の異常破裂が相次ぎ、調査リコールをせざるを得ない状況に追い込まれました。
しかしそれでもなおタカタは、調査、改善に本腰を入れるには至りませんでした。
倒産を報じる新聞各紙やテレビの報道番組では、これら一連のタカタの動きを評して、「初動の遅さ」「対応の遅れ」が命取りにつながった、と報じています。なぜタカタは重大な事故が起きていたにも関わらず、対応が遅れてしまったのでしょうか。
その大きな原因のひとつが、創業家による同族経営すなわち高田家というオーナー家の存在にあると言われています。
オーナー経営者とサラリーマン経営者の最大の違いはなんであるかと言えば、大抵の場合オーナー経営者は大株主でもあるということ。たとえ大株主であろうとも、経営者としては大株主であることと切り離して会社経営をしなくてはいけないのですが、それがなかなか難しいのです。