「リシャール」「ロイヤルバカラ」に頭がクラクラ
ホストクラブでよく出るのは、何といってもシャンパンだ。
「1番よく出てたのはシャンパンで、モエとかヴーヴ・グリコかな~。俺のときは3万くらいで、途中から3万4000円に値上がりしたけど、かなり安いほうだよ。あとはドンペリ。白で8万くらい、ブラック、ピンク、ゴールドと値段が上がっていって、最高級のプラチナだと100万くらいかな~」
すでにめまいを起こしそうだが、ブランデーはもっとすごい。
「リシャールは当時120万くらいで入れてもらったことあるけど、今はもっと値上がりしてると思うよ。え、カミュのロイヤルバカラはいくらかって? うーん、月末締め日にもらったことがあるけど、ちょっと安くて90万くらいだったかな~、もう忘れちゃった」
というヒモさん。頭がクラクラしてくる。
「他にはどんなお酒があるの? 教えてよ~! ホストクラブに憧れがあるんだからさ」としつこく尋ねる私に、
「(バースデーイベントや月末など)数字を狙ってるときは高いやつ入れてもらうけど、俺、そもそもワインが好きだったから...... シャンパンとかブランデーはあんまり入れてもらってなかったんだよね。って前も北条さんに説明したでしょ! 『ワインに詳しくなりたい』って言うから、いろいろ解説したじゃん! もう忘れたのかーーーーーっ!!」
いやぁすまん! と謝って気がついた。
私はホストクラブのお酒自体に興味があるのではない。No.1ホストだったヒモさんの、キラキラした思い出と栄光に惹かれているんだな。だって、リシャールや高級ワインを入れてもらってるときのヒモさんなんて、絶対カッコイイに決まってる!
私はそんな、元No.1ホストのイケメンと街を歩けることに、甘美なナルシシズムを感じているのであろう。これが女の業ってやつかどうかは分からないが、我ながらしょうもない。(北条かや)