2016年度の国内上場企業の株式の持ち合い比率は過去最低の9.9%だったことが、野村証券の調査でわかった。
前年度と比べて、0.4ポイント低下した。
経営の柔軟性の阻害に
「株式の持ち合い」は、双方の経営にとって「安定株主」となるメリットが見込めるほか、資本関係や取引関係を強化できる。その一方で、持ち合い関係にない他社との取引がしづらくなったり、取引が制限されたりしかねないといったデメリットもある。
また、個人投資家からすると、株主総会が形骸化したり、株主による企業統治が損なわれたりすることが懸念されてきた。株式会社はあくまでも利益を上げることに専念してほしいと考えるからだ。
今回の調査で、株式の持ち合い比率が過去最低まで下がった理由について、野村証券の西山賢吾シニア・ストラテジストは2017年6月26日のJ‐CASTニュースの取材に、「低成長の現在では、株式の持ち合いが、(持ち合い関係のない)他の取引先の拡大阻害や投資家心理に影響する、つまり経営の柔軟性を阻害することから、持ち合い比率は下がっています」と指摘した。
調査は、2016年に日本国内の上場企業の約3600社を対象に行った。