さりげない「不幸オーラ」に人は吸い寄せられる
たとえば、相応の仕事を任されたとします。その際に、誰もがやりたがらない面倒くさい仕事を、セットで引き受けるのです。
取材したSさんは社内で注目度の高い部門を任されたときに、気が重くなるような労働問題関連の仕事を自ら手を挙げたようです。弁護士と一緒に調査したり、社員の話を聞いたり。目先の成果には結びつかない仕事ですが、誰もやりたがらない面倒な仕事を率先してやったことで、周囲のやっかみの矛先が明らかに少なかったとのこと。
もう少しお手軽なところでは、本来は若手が担うような宴会の幹事などを、あえて引き受けるのもいいかもしれません。要は、魅力的な仕事やポジションを「いいとこ取りで手に入れた」と思わせないように、人が「やりたくないな」と思う地味で地道で損な役回りを少し引き受けていれば、そのイメージが強く印象づけられて「アイツって高い評価を得ているけど、あんな仕事をやらされてかわいそうだよね」「プロジェクトに抜擢されたけど、あんまりうらやましくないよね」というふうに見られる。
そこまでいかなくても、「あそこまで下働きするなら文句は言えないな」と、嫉妬の火力を弱めることには成功するでしょう。
自分の不幸な一面をアピールすることで、嫉妬の矛先を向けられないようにするのも効果的。仕事も絶好調、家庭も円満、子どもも順調に育ち、順風満帆だったとしても、「いや、実は大変なんですよ」という「トホホポイント」を、それとなく流布させるのです。
よくあるのが「恐妻家キャラ」です。本当は仲のいい夫婦だったとしても、奥さまが厳しくて頭が上がらないキャラクターという風に自分を設定しておけば、世の男性たちの同情を買います。あるいは、
「あの人、新築の家を買ったけど、途端に物件価格が下がったみたいよ」
「部長になって給料が増えたのに、お子さんにお金がかかるとかで、お小遣い制のままでたいした金額をもらっていないみたい」
幸せそうに見えても、羨ましいと思えないからです。
そして「トホホポイント」は、できれば自分の口からではなく、周囲から通じて広めていく。そのほうが、信憑性が高まります。(高城幸司)