弁護士回答=労働法令違反の疑いで送検した事案などを公表
これから勤めようという会社が、ブラック企業かどうかがわかれば、転職活動もやりやすくなりますよね。今回は、厚生労働省による、いわゆるブラック企業の公表について説明させて頂きます。
厚生労働省は2017年5月10日、長時間労働や賃金の不払いなど、労働関係法令に違反した疑いで送検されたブラック企業のリストを公表しました。
この公表は、この3月30日に発せられた「労働基準関係法令違反に係る公表事案のホームページ掲載について」という通達に基づくものです。この通達によると、ホームページに掲載する事案は、労働基準関係法令違反の疑いで送検し、公表した事案(送検事案)と局長が企業の経営トップに対して指導し、その旨を公表した事案(都道府県の労働局長指導事案)の2種類あります。
公表する内容は、(1)企業・事業場の名称(2)所在地(3)公表日(4)違反法条(違反した法令の条項)に、(5)事案概要(6)送検日時――です。
ホームページに掲載されている期間は、公表日から概ね1年間ですが、送検事案については、掲載の必要性がなくなったと認められる場合、また局長指導事案については、是正および改善が確認された場合には速やかにホームページから削除されること――とされています。
局長指導事案に関する通達によると、公表の目的は、他の企業における遵法意識を啓発し、法令違反の防止の徹底や自主的な改善を促進させ、これにより同種事案の防止を図ることであり、対象とする企業に対する制裁として行われるものではないとされています。
今回のリストを見ると、ニュースで話題となった大手企業もありますが、大半は中小企業です。また地域別にみると、北海道や愛知県が比較的多く、東京都は意外と少なめでした。