すでに自動ブレーキやレーンキープなどの機能を搭載したクルマが販売され、運転手がハンドルに手を添えているだけの、文字どおりの自動運転車が公道を走るのは時間の問題になってきた。
実現すれば、交通事故や渋滞が減り、二酸化炭素(CO2)排出量の削減にも適う。2017年5月5日付の日本経済新聞「ニュースここがポイント」によると、自動運転車は「人工知能(AI)やセンサー、高速通信などあらゆる技術が必要となり、異業種からの参入も相次ぐ」とある。自動運転をめぐる技術開発は日進月歩なのだ。
自動運転、開発競争は「レベル3」に移行
現在、自動運転車といっても自動車メーカーによって、その性能はまちまち。それもあってであろう、政府は自動運転の「レベル」を国際的な標準とあわせた5段階で定義している。
2017年6月9日付の日本経済新聞によると、「レベル1」は加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う状態。自動ブレーキなどの安全運転支援システムがそれで、すでに市販車への搭載が進んでいる。
「レベル2」は加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態。先行車両を追従し、車間距離を保ちつつ一定速度で走行するアダプティブクルーズコントロールなどがこれに該当。ここまではまだ、運転は人が操る。
「レベル3」は加速・操舵・制動をすべて自動的にシステムが行い、ドライバーは監視しながら、システムが要請したときに対応する状態。高速道路の同じ車線を自動で走る機能は、日産が2016年8月に発売したミニバン「セレナ」で実用化。トヨタ自動車も17年6月8日発売の多目的スポーツ車(SUV)の「ハリア」で、歩行者を検知するほか、時速50~100キロメートルの範囲で車間距離を保ちながら前方車両を追従する衝突回避システムを全グレードで装備した。
さらに「レベル4」は、場所など条件が限定された環境での自動運転。加速・操舵・制動をすべてドライバー以外が行い、ドライバーがまったく関与しない状態。どこでもいつでも自動運転が可能な「究極のクルマ」が「レベル5」となる、とされる。
政府も2020年までに「レベル3」の自動運転を、2025年には「レベル4」の実用化を目標としている。
こうしたことから、現在、開発競争は「レベル3」の内容へと移行。トヨタ系で国内最大の自動車部品メーカーのデンソーは、2017年6月20日に開催予定の定時株主総会の招集通知で、「全世界で適用可能な自動運転技術を確立するために、各国の道路環境や交通環境を踏まえた研究開発を推進しています。日本では、すでに2014年より公道で走行試験を実施しています」と記載している。
部品メーカーを含め、自動運転車の開発競争が熾烈になっていることがうかがえる。