三井住友銀行は2017年7月から、新しい公募型の投資信託を売り出す。基準価額が一定額まで上がると事実上、元本割れを防げる仕組みを採用した。
こうした「元本防衛型」と呼ばれる、元本割れのリスクが小さい投信商品が広がれば、個人投資家が預金から投信にお金を振り向けやすくなる。
元本割れから守る、「プロテクトライン」を設定
三井住友銀行は、フランスの資産運用会社、アムンディ アセットマネジメントの100%子会社、アムンディ・ジャパンと、投資信託「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド(愛称:あんしんスイッチ)」を共同開発。2017年7月3~27日に募集する。
投資信託は預金と違い、元本が保証されていない。相場の変動に応じて元本割れする可能性がある。しかし、この商品には元本割れしないように守る、「プロテクトライン」が設けられているため、投資家が受ける損失は、一定に抑えられる。国内の投信商品では、まだ珍しい。
たとえば、投信を購入する際の基準価額が1口あたり1万円の場合、その際のプロテクトラインは9000円と定めている。基準価額がその後、9000円を下回っても、投資家がそれ以上の損失を受けないような仕組み。
また、基準価額が上がれば、事実上、元本は保証される。基準価額が1万600円に届くと、プロテクトラインは1万円に引き上げられ、元本割れのリスクがより小さくなる。基準価額が1万1111円を超えると、プロテクトラインは基準価額の最高値の90%となる。
株式や投資信託などの価格が変動する金融商品は、バブル崩壊後の金融危機やリーマン・ショックなどで、過去に手痛い損失を被った投資家も少なくない。そのため現状では、政府が呼びかけている「預金から投資」への流れがなかなか定着しない。こうした元本割れのリスクが小さくなる投信商品が広がれば、その流れが大きく前進する可能性はある。