日銀の金融緩和策 自信の「出口戦略」も、黒田総裁の甘い見通し

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長期金利、急上昇の可能性秘める

   しかし、日銀が政策を変更するという姿勢を示した途端に、長期金利が上昇を開始する可能性は高く、これを抑え込むのは容易ではないはずだ。

   さらに、金融環境は世界的に金利正常化に向かって進み始めている。米国では利上げが着実に行われ、長期金利の水準が訂正されていき、欧州でも金利が正常化に進む可能性は高い。

   こうした世界の長期金利が上昇基調に変化する中で、日本だけ日銀が長期金利の上昇を抑制するのは、簡単なことではない。場合によっては、金利上昇を抑制するために、長期国債の買い入れを行わなければならなくなる事態すら考えられる。

   その規模は、年間80兆円という現在の規模を上回るかもしれない。

   日銀の健全性の問題もある。テーパリング(量的金融緩和の縮小)の開始で、日銀が保有している国債を売却すれば、国債価格の下落に伴い、巨額の実現損が発生する可能性がある。日銀が債務超過に陥ることすら現実味を帯びてくるわけだ。

   2%の物価目標の達成という黒田総裁が掲げた目標は、何度も先送りされ、「日銀と市場との信頼性」は大きく損なわれている。日銀が出口戦略あるいは金融政策の変更を行う場合には、「市場との対話」も重要な課題となる。対話が十分に行われず、市場の理解を得られなかった場合には、長期金利が急上昇する可能性を秘めている。

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