2017年3月期全国114行の銀行の預貸率は、前年同期と比べて1.12ポイント減って66.47%となり、過去最低だった。東京商工リサーチが2017年6月8日に発表した。
地方銀行では預金率が増加した一方で、大手銀行では軒並み減少した。
貸出金 地銀で伸び、大手行は減少
預貸率は、銀行の預金(譲渡性預金を含む)残高に対する貸出金残高の割合を示す。預金と貸出金の差額にあたる「預貸ギャップ」は前年同期の244兆円より19兆円多くなり、過去最大の263兆円に拡大した。マイナス金利の導入後も、貸出金の伸び悩みを反映した格好となった。
114行の2017年3月期の総預金残高は前年同期比4.1%増だったのに対し、総貸出金残高は2.4%増にとどまった。
地方銀行は、日銀のマイナス金利政策の導入で地域密着をより徹底。地元で融資を伸ばした。地銀64行の預貸率は、前年同期と比べて1.04ポイント上昇して72.92%。第二地銀41行が0.63%ポイント上昇の75.06%だった。
これに対して、大手銀行9行の預貸率は61.43%で、前年同期と比べて2.53ポイント減少。なかでも、みずほ信託銀行が前年同期と比べて13.01ポイント、三菱東京UFJ銀行で6.61ポイント、三菱UFJ信託銀行は5.75ポイントと、大きく低下した。
J‐CASTニュースの2017年6月15日の取材に、東京商工リサーチは「地銀では個人への住宅ローンに貸し出しが増える一方、大手銀行では貸出先である大手企業が内部留保を高めているため、貸し出しが伸ばしにくい状況になっている。そのため、預貸率が下がった」とみている。