宅配サービスが曲がり角を迎えている。ヤマト運輸をきっかけに、宅配ドライバー不足と、それに伴う長時間労働などが浮き彫りになり、配送現場の負担を軽減するため、再配達の削減や配送料の値上げの動きなどが活発化してきた。
ただ、これには消費者の協力も欠かせない。
「いつも抵抗を感じる」が4割
国土交通省が毎月公表しているトラック輸送情報で、2016年1~12月分を合算すると、宅配便の取り扱い個数は38億6930万個となった(2017年3月3日発表)。15年と比べて10.4%増え、この10年でみると27%超も増えた。このうち、ヤマト運輸の取扱個数は約半分を占めている。
宅配サービスの急増の背景は、テレビや新聞・雑誌、インターネットなどを通じた通信販売の普及がある。「365日、いつでも買い物ができる」「実店舗に出かけなくて済む」「心ゆくまで商品リサーチができる」──など、通販やインターネットショッピングの便利さは枚挙に暇がない。
その一方で、配送業の人手不足、労働環境の悪化は深刻さを増しており、ヤマト運輸は労働環境の改善を狙いに2017年10月1日から、27年ぶりに宅配便の配送料の値上げを予定している。
そうなると、気になるのが通販で買い物したときの送料だ。企業のサプライチェーン基盤の構築支援などを手がけているマンハッタン・アソシエイツが6月2日に公表した「実店舗・オンラインショッピングに関する消費者意識調査」(18歳以上の一般消費者約2000人、3月1~2日実施)によると、通販やECサイトを利用する消費者の約8割が、「送料の支払いに抵抗を感じる」と答えていた。
オンラインショップや通販で商品を注文する際、「配送料を支払うことに抵抗を感じるか」という質問に、「いつも感じる」と回答した人は40%。「商品によっては感じる」が39%で、「抵抗を感じる」と答えた割合はあわせて79%にものぼった。
送料を気にしない人の割合を見ると、「いつも感じない」は6%。「同日あるいは次の日に商品を受け取れるなど、条件次第で感じない」は5%。「その他・わからない」は10%と少数派だった。
送料無料のため、「どなたかご一緒に買いませんか......」
また、「オンラインショップやカタログ、携帯電話のアプリ、コールセンターなどで商品を注文する場合、『配送』に関してよいと思うものをすべて選んでください」という質問には、
「店舗以外の住所への無料配送(3営業日以上かかる可能性あり)」が27%、「注文翌日店舗への無料配送」が21%、「注文翌日店舗以外の住所への無料配送」が23%、「オンラインで注文(予約)し、無料で同日店舗受け取り」が11%となっており、どうにか配送料を無料にしたいという態度が透けて見えた。
ツイッターをみても、「送料無料」をめぐる攻防は繰り広げられており、
「Amazonにしか心を許さないわたしはAmazonに毒されてる...... まあ本とかまとめて買うようにはしてるけど、結局Amazon使うから送料無料は大きい」
「(アニメグッズの共同購入を呼びかけ)ご迷惑になるなら申し訳ないのですが、送料無料にするためにどなたかご一緒に買いませんか......? 私が責任持って申し込みます!」
「某ネット通販でね、送料無料にするには7000円以上注文しないといけないの(通常沖縄への送料1500円)。でもそのショップの取扱商品はほとんど3000円の物ばかり。つまり送料無料にするために9000円分買わないといけないの... 一品だけ買いたいのに、あんな高い送料払いたくない」
「問題なのが、こいつらは送料無料にするためのものであってほしいものではないっていうこと。そして、その目当ての品が何だったのか、すでにわからないこと」
「送料無料にするために無駄遣い!」
といった嘆きとも受け取れる声があがっていた。
しかし、買い物に出かける交通費よりも通販の配送料のほうが安い場合もあるから、どちらがオトクか、よくよく考えたほうがいいもしれない。