その椅子、座り心地いいですか? 「お篭り社長」が会社をダメにする

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社長室の存在は「社長の見える化」のネック

   私は常々、社内の活性化に向けて「社長の見える化」をしましょうと申し上げています。これは社長の行動の透明化のことです。その日その日のスケジュールをオープンにして、ある意味リアルタイムで今どこで何をしているのかを全社員に分かるようにする。外訪中なら今どこに行っているのか、出張中なら何の目的でどこの街にいるのか、可能な限りオープンにしようということです。

   おかしな話ですが、これをすることで社長も会社の一員なのだと社員に意識付けができ、社長の行動を共通の話題として社員と社長の会話も弾むのです。

   ただ私も、社長は社長室を出るべき、というところまでは申し上げるに至ってはいませんでした。先の上場企業社長Aさんや中小企業社長Tさんのお話を聞く限り、物理的な社長室の存在は「社長の見える化」のうえからもネックに成りうると言えそうです。

   中小企業では、極力社長室を設けないというのは、社内活性化において意外に重要な視点であるように思います。

   では、大企業ではどうしましょうか――。Aさんのような上場企業社長の場合、社長室を廃止するとか秘書を置かないとかは物理的に難しいとは思います。ならば、少なくとも社長室はあっても、それとは別に社員の執務フロアにも社長の机をつくるというのはあっていい施策だと思います。

   規模の大きい会社なら、複数の部門に社長席を置き、一つの部門に偏らないように日替わりで社長の執務場所を変えるとかもありでしょう。社長が見えるところにいることの大切さは、意外に見落とされがちな社内活性化策のポイントだと思います。

   1年で、隔離された社長室での執務に慣れてきたというAさん。もしかすると、その慣れは組織を活性化するうえで好ましくないものかもしれません。「次回は食事でもしながらお話の続きを」と約束して別れましたので、その際には社長室に篭らない経営のススメを話して差し上げようと思います。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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