その椅子、座り心地いいですか? 「お篭り社長」が会社をダメにする

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社屋建て替えでの「気づき」

   この話を聞いて頭に浮かんだのが、以前、社内コミュニケーションが素晴らしいとの評判を耳にして、お話をうかがいにあがったオーナー系中小企業のT社長。T社長のお話は、大企業の社長Aさんや部下のHさんが感じているようなことが、大企業に限らず中小企業でも起きていて、どうすればうまくいくのかとういう示唆に富んだお話でした。

「私と社員のコミュニケーションがよくなったと感じたのは、じつは社屋の建て替えがきっかけだったのです。1年ちょっとの期間を、仮オフィスで過ごしたのですがこれが手狭で。その間、社長室はなし。執務フロアの一角に私の机を置きました。最初は少し居心地が悪かったのですが、気が付くと社員とのコミュニケーション量が以前に比べて圧倒的に増えました。私の耳に入る情報量も増え鮮度も増します。ところが新社屋が完成して、再び社長室ができ『別室に隔離』された途端にまた、社員との距離が広がってしまったのです」

   T社長はこれを問題視し、ほどなく社長は自ら社員が執務するフロアに机を置き、社長室は会議室につくり替えたそうです。その効果あって、社長と社員間の風通しが圧倒的によくなり、地域の商工会でも評判の社内コミュニケーションがとれている企業と言われるまでになったのだと。

   社屋の建て替えがもたらした、思わぬ副産物と言えます。社長の物理的な「別室隔離」がどれだけ社員との距離を広げているのか、よく分かるエピソードです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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