東京商工リサーチの「全国の第三セクター等7532法人 経営状況調査(2015年度決算)」によると、第三セクター(地方三公社や独立行政法人を含む)の法人数は、2006年度末の9007法人から年々減少して、この10年間で16.4%減少した。2017年6月2日に発表した。
総務省が2017年1月に公表した「第三セクター等の出資・経営等の状況調査」をもとに分析。全国の第三セクターは2015年度末で7532法人。前年度と比べて0.9%減った。
土地開発公社、10年で3割減少
第三セクターの減少を法人区分でみると、2006年度からの10年間で、第三セクター(社団法人・財団法人、会社法法人)は1160法人、14.9%の減少。地方三公社は410法人の減少で、じつに34.0%も減った。
地方三公社のうち、地方住宅供給公社が24.6%減(57→43法人)、地方道路公社が21.4%減(42→33法人)、土地開発公社は35.0%減(1106→719法人)、とそれぞれ大幅に減少。なかでも土地開発公社の減少率は突出している。
また、2015年度の業績が判明した第三セクター(6268法人)のうち、経常赤字は全体の35.5%、2225法人あった。このうち、債務超過は239法人で、北海道、岐阜、新潟など地方の第三セクターなどで目立った。整理・縮小が進んでいる。
東京商工リサーチは2017年6月5日のJ‐CASTニュースの取材に、「第三セクターは、公共性はあるがもともと採算が取りづらい、民間事業として難しい面を担っている。そのため、経営がうまくいかず、整理されている」と分析している。
整理が本格化した事例として、同社はJR青森駅前で複合商業施設「アウガ」を運営する第三セクター「青森駅前再開発ビル」を取り上げた。2016年10月、青森市長は再開発ビルが債務超過に陥った責任を取り、辞職を表明。出資していた青森市は市長を含め管理職、一般職員の給与を2017年4月から1年間削減することを決定している。
青森市のように、自立できないまま処理も先送りされた第三セクターは、地方自治体にとって「重荷」だ。2015年度に自治体から第三セクターに交付された補助金の総額は5632億円。さらに、自治体からの借り入れや損失補償、債務保証、出資金の総額は12兆6204億円に達している。