「ありがとう」を見える形で示す ディズニーにみる「相互感謝」の精神

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母校で身に付けたマネジメントの基本

   余談ではありますが、加賀見氏と私の母校で年間行事の中心にあるのが、高校3年生が中学1年から高校2年生までを仕切り、1年間かけてすべての運営を自主的におこなう大運動会です。高校3年生8つのクラスが対抗し、傘下に入る下級生学年の競技指導、戦略立案などをおこないます。

   言ってみれば高校3年生を頂点とした、他校ではあまり見ることのない全学年規模のピラミッド管理組織運営がそこにはあるのです。

   冒頭でお話した、頑固で一途な振る舞いのDNAは、おそらくはこの母校の運動会の組織運営で身に付けたものであると言っていいと思います。そして、この運動会にはもう一つ特筆すべきことがあります。高校3年生の指導の下で闘った各学年が、闘いを終えて自軍に戻ると、彼らを迎えてくれるのが、鬼の先輩からの「ありがとう」のエールなのです。

   勝っても「ありがとう」、負けても「ありがとう」。私は1年生の時に1回戦負けして、それまでの練習時と同じく厳しく叱咤されることを覚悟で自軍に戻ったとき、この温かい出迎えに感激しました。

   さらに、最後に高校3年生が闘いを終えて戻ると、今度は後輩である高校2年生が自発的に音頭をとって「ありがとう」のエールを先輩たちに贈るのです。これには高校3年生の誰もが、涙を抑えることができないほどの感動を覚えます。

   まさに「相互感謝」。未来永劫続く先輩後輩の固い絆はこうして確立されます。加賀見氏の素晴らしいマネジメントの基本である「相互感謝」は、高校時代の運動会の組織運営で身に付けたものに違いないでしょう。

   経営者が「相互感謝」の気持ちを持つことで、組織は明るく活気にあふれ、つながりが強固になり、社員にはやる気が出てきます。「相互感謝」の基本は、上に立つ者がしっかりそれを見える形で示すことなのです。

   加賀見氏のディズニーランド・マネジメントには、中小企業経営にも役立ち、かつ誰にでもできるヒントが満載であると思った次第です。(大関暁夫)

キャプション マネジメントの基本「相互感謝」は高校時代に培った
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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