家庭の「大黒柱」といえば、男性という時代はもう、ずっと遠い昔のお話だ――。そう思わせてくれるインターネットテレビの番組、AbemaTVで配信された「Wの悲喜劇 ~日本一過激なオンナのニュース~ 」(2017年5月13日放送)が、評判を呼んでいる。
女性の社会進出とともに「専業主夫」の男性が増えつつあるなか、出演した「大黒柱」となった女性たちの声に、女性だけではなく男性からも共感の声が広がっている。
「妻の扶養に入った男性」10万9367人
この日のテーマは「大黒柱女子」。MCのSHELLYさんをはじめ、働くアラサー向け情報サイト「ウートピ」編集長の鈴木円香さん、ライターの吉田潮さん、「J‐CASTニュース」執行役員の蜷川聡子、ほかにも「大黒柱女子」として働く女性たちがゲストとして本音トークを繰り広げた。
日本でも失業率の上昇や働き方の多様化によって、専業主夫の男性が増えつつある。厚生労働省の調査によると「妻の扶養に入った男性」は1999年には4万7671人だったが、2014年には10万9367人と約2倍に増加した。
また、20代、30代を対象にした調査によると「妻の収入さえよければ、専業主夫でも構わない」と答えた男性は60%にのぼった(楽天オーネット調べ)。
いまや女性が働くことが当然になった時代とはいえ、仕事と家事の両立、さらには子育てともなると、夫・妻とも日々の暮らしへの悩みは尽きないようだ。
ゲストの一人、リントス代表の川崎貴子さんは共働き希望の女性のための婚活サイト「キャリ婚」を運営し、さまざまな共働き夫婦を誕生させてきた。川崎さん本人も実母を呼びよせ、自分と夫の3人で子育てをしている。子どもが小さいうちは夫が専業主夫だったが、現在は夫婦ともに働き、自らが料理、夫が掃除、母親が洗濯という役割分担だ。
「夫は本当に『乳を出す』以外、全部できるんです。逆にキメ細かいし、子どもの顔色が悪いとか、熱を出すタイミングとか専業で見ているからこそ分かる。『母親だから分かる』は幻想です」
と、きっぱり。
その発言に、一同は「そうそう!」「分かる~」と溜息が。
「責任を持って見ている人が一番分かるんです」と、川崎さんはいう。
ライターの吉田潮さんは、「別居婚」を実践中。静岡で実家を継いだ夫とは毎日スカイプで会話はするものの、会うのは2~3か月に1回。生活も別、家計も別という結婚生活だ。
「だから恋人みたいな感じですね。家計や収入のリスクを分散しておくと『耐震構造』になる。だからうちは大黒柱というよりは『2本柱』なんです。いつどちらかが倒れてもいいような」
年収が高い人ほど「会社と結婚している」
「大黒柱女子」ならではのメリット・デメリットに話が及ぶと、
「夫婦どちらかが稼ぎ始めると傲慢になる。これには性別は関係ない」(婚活アドバイザーの大西明美さん)
「男性の場合は年収が高い人ほど『会社と結婚している』。女性は子どもを産んでいるので、『お弁当だけは私がつくる』『PTAは私が出る』と何とか家庭に関われることを探し、不在にはならない」(川崎貴子さん)
と、当事者ならではの意見が飛び交った。
さらには「大黒柱女子」のあり方について話が及ぶと、
「私は手伝ってもくれない外野の声は聞かなくていいと思っています。家庭の共同経営者である夫婦二人が納得していればいい。それにはコミュニケーションや会話、愛情の交換が必要ですね」と、川崎貴子さん。
大西明美さんは、「男の人は嫉妬深い一面があり、自分が社会の一番下に置かれていると思うと、妻のキャリアを邪魔しはじめる場合がある。SNSで『ウチの旦那はこんなお弁当を作れます!』とか、専業主夫の男性をもっとほめるといい。バリキャリの女性は責任感が強いので、ついつい家事をやりすぎちゃう。たまには甘えて、『できない』といったほうが夫は『じゃあ、オレがやる』みたいなことになって、理解も深まるし、手伝うきっかけにもなる」と、アドバイス。
「家事も仕事も『自分が一番やっている』と思ってしまう。もっと感謝の気持ちが必要ですね」(蜷川聡子)
などと語った。
今はまだマイノリティの「大黒柱女子」だが、ツイッターをみると、
「やっとこういう人たちが出てきたか」
「大黒柱女子の方、助けてください」
などと、男性とみられる人からも共感の声が。
「『母親にしか分からない、なんてことはない』仰るとおり!!」
「ほらね? やればできるのさ。育児に母性とか関係ないもん。体力よ! 体力のみ! 」
「ほんとそう。『乳を出す』だって別にミルクで充分なんだから、妊娠と出産以外は全部父親ができるはず」
「興味深い。ただ『(妻か夫に)養ってもらってる』という表現は嫌い」
と、女性からは我が意を得たりといった声があふれていた。
今後はますます、「大黒柱女子」が増えていきそうな気配だが、夫婦がお互いを認め合うことが、円満家庭への第一歩なのかもしれない。