「砂漠に水」の中小企業の人材育成
営業担当を育てても他社に持って行かれてしまう、だからどこまでも社長営業でやっていくしかない。しかし、それでは会社の成長はアタマ打ちになるのが見えています。ならば、どうすればいいのか――。
営業の現場で試行錯誤を重ねつつ成果に至った結論が、「担当者を育てる前に営業管理者を育てて、管理と教育をしっかり請け負わせる」ことでした。
まず、管理者自身あるいは経営者が実績を積み上げてきた過去の経験、さらに自社の優秀な営業担当者の成功体験を踏まえて、営業担当全員が統一して取り組むべき自社の営業スタイルをつくり上げる。そして、営業に必要な知識(商品、サービス、技術、競合、関連法令、経済動向など)を定義し、全員の知識の底上げを図る。そのうえで、十分な営業量を確保できるような体制づくりと日々の行動管理を徹底する。
その後もこのやり方は、業種を問わぬ営業部隊の強化策として着実に成果を上げています。
ポイントは、エース営業をつくることを目的にせず、もっぱら営業担当全体のレベルアップを図ることに注力すること。ハナから「営業にエースは不要」と割り切ることが重要であり、全員の営業力の底上げをすることで結果として社長営業をも無用にしてくれるのです。
誰かがやめて後任と入れ替わっても、あるいは新人の営業部員が入っても、同じやり方を踏襲すればいいので、アタマ打ち知らずの営業体制の構築も夢ではないと実感しています。
社長営業に頼っている企業、営業部隊の強化にお悩みの企業は、担当者を育てるのではなく、まずは営業管理者を育成。担当者のやるべきことを決めて、その管理を徹底することが自社発展の近道になる。この点はぜひともご記憶いただきたく思います。(大関暁夫)