その17 ノンアルコールビール 【こんなものいらない!?】

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   生ビールで盛り上がるビアパーティーで、ひとりだけがノンアルコールビールを手にしている。彼はアルコールが駄目な体質なので、仕方がないことでもある。

   だけど、僕はどうも腑に落ちない。

  • スーパーではノンアルビールの存在感が増しているが……
    スーパーではノンアルビールの存在感が増しているが……
  • スーパーではノンアルビールの存在感が増しているが……

とにかく、「おいしくない」!

   ノンアルコールビールなんて、「ビール」とは称しながら、ビールであるような、ないような、中途半端な代物である。ビールの色はしているが、缶には「アルコール 0.00%」と書いてある。

   アルコールが駄目で、ノンアルコールにするのなら、ウーロン茶を飲むとか、もっとまっとうなものを選んでほしい。ノンアルビールだと、飲めないのに飲めるふりをしているみたいでもある。いさぎよくない。

   ノンアルビールで酔ったふりをされても、こちらはしらけてしまう。

   僕が若い頃から出てきた宴席では、アルコールの飲めない先輩も結構いたが、彼らはウーロン茶や麦茶などのお茶でみんなの相手をしていた。

   昔はノンアルビールがまだ一般的でなかったせいもあるだろうが、お茶だけで僕らの酔いに話を合わせてくれた。一種の芸当と言ってもよかった。

   ちなみに、僕が大学生だった55年ほど前、運動部の合宿で訪れた自衛隊の基地の食堂で、初めてノンアルビールを飲んだ。まずかった。

   この記事を書くにあたり、ビール各社の最近のノンアルビールを初めて飲んでみた。昔よりはよくなっているようだけど、うまいとは思えなかった。払ったカネが惜しくなった。

   それもそのはずだ。あるノンアルビールの缶には「目指したのは、最もビールに近い味」と書いてある。最近は、ノンアルビールを「ビールテイスト飲料」と言ったりもする。裏読みすれば、「ビールの味にはまだ追いつけず、ビールよりはまずいんですよ」と、告白しているみたいである。

   おまけに値段は、酒税がかかっていない割には安くない。開発費がかさんでいるせいとも聞くが、同じような値段の発泡酒のほうが僕にはずっとおいしい。

   でも、スーパーあたりでは結構売れているようだ。大きく「ノンアルコール」と書いた棚が設けてあり、本来のビールと堂々、肩を並べていたりする。

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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