労働実態を把握せず、「時短」を叫ぶ そんな経営者はアホだ!(江上剛)

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「残業時間の削減が社会的に問題なのはわかっていますが、「時短」「時短」とせかされ、持ち帰り残業が増えて困っています。正直、持ち帰って残業するくらいなら、職場できちんと終えて帰宅したいんです。私の考えはおかしいでしょうか」

   ちっともおかしくありません。

  • 「時短」「時短」「時短だぁ!!」
    「時短」「時短」「時短だぁ!!」
  • 「時短」「時短」「時短だぁ!!」

なぜ残業をなくそうとするのか?

   働き方改革のキャンペーンに乗っかって、自分の会社の状況をきっちりと調査、分析もせずに「時短」「残業を減らせ」と号令をかける経営者が増えています。

   アホ! ですね。

   持ち帰り残業(自宅で残業する)、カフェ残業(カフェで残業する)、マクドナルド残業(マクドナルドで残業する)のが増えているという話は頻繁に耳にします。

   なぜ残業をなくそうとするのでしょうか?

   きっかけは、電通で過重労働による過労死自殺が起きたからです。

   でも、以前から過労死自殺はありましたが、これほど大きな社会のムーブメントにはなりませんでした。

   電通社員の高橋まつりさんの悲劇が、あまりに残酷だったこともありますが、私はいよいよこのままいくと、日本経済が立ち行かなくなるまで追い詰められたからだと思っています。

   J‐CASTニュースが、

「総務省が2017年3月31日に発表した2月の労働力調査によると、季節による変動要因を除いた完全失業率は2.8%と、前月比0.2%の減少、前年同月と比べて0.5%減少した。 完全失業率が3.0%を下回るのは1994年12月以来、22年2か月ぶり」

と、報じています。

   企業は、今まで無限の成長が可能だと思っていましたが、人材不足という壁があることにやっと気づいたのです。

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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