【大阪発】先手先手のランドセル商戦 勝負は夏休み入り直後

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丁寧な仕事のスタンダードなランドセルが人気

   ランドセル商戦は、どういった商品をこの1年売っていくかを早い段階で決めている。高島屋によると、最近はデザインを重視する傾向にはあるものの、高度成長期の子どもが多くいた時代と違い、「6年間使うことが前提なので、スタンダードなランドセルも根強い人気があります」と話す。

   その一方で、商品ラインアップを充実。女の子向けには、リボンが取り外しできるランドセルが好評で、デザインとスタンダードを両立。低学年時にはリボンを付けて、高学年では外すという使い方をされている。男の子向けには、今年はウルトラセブン放送50周年ということで、デザインを重視したキャラクター入りのランドセルを取りそろえた。すでに売り切れたという。

   ランドセル商戦にしのぎを削るのは百貨店だけではない。職人たちが一つひとつのランドセルを手づくりで製造していく、大阪市生野区でセミオーダーメードのランドセルを手がける「ランドセル工房 生田」も、4月29日から店頭販売を開始した。丁寧な仕事のスタンダードなランドセルが人気だ。

   多くのランドセルが並ぶショップの向かい側に、製造過程を見学できる工房を設け、3年前に10人ほどだった職人は、パートも含めて14人に増えた。5種類のランドセルをベースに、内装やフチ色、革の種類やステッチなどをオーダーできるのが特徴という。

   同社は一時期、大量生産に踏み切り、業績も好調だったが、「手作りと革とセミオーダー」にこだわり撤退した。手づくりのランドセルのみを製造する工房へと衣替え。現在はセミオーダーが8割を占める。

   専務の長井宏治氏は、「ランドセルに対する親のこだわりに、職人のこだわりでこたえる」と、胸を張る。

   その姿勢と技術が支持され、また評判が評判を呼んで、売り上げは右肩上がり。ランドセル商戦の前倒し傾向についても、「職人が早い段階から仕事ができる」と、仕事が平準化できるメリットが見込めると歓迎する。

   ほとんどが受注生産なので、在庫をもたない強みもある。(水上守)

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