FENDIと、1億円のクロマグロ
築地市場の初セリでは、毎年クロマグロが異様な高値をつける。1匹「1億円」なんて年もあったが、あの高揚感みたいな空気に踊らされて、人は53万円の限定ハンドバッグを買うのだろうか――。なるほど、銀座のピーカブーは築地のクロマグロだったのか...... いや待てよ、クロマグロを競り落とした企業は、大きなニュースになるから宣伝広告費と思えばいいが、53万円のハンドバッグを見事ゲットした人は誰にアピールするのだろう。家族か、知人か、はたまたSNS上の他人なのか?
ソースティン・ヴェブレンという経済学者は、人々が自分をお金持ちに見せようと見栄を張る買い物を「誇示的消費」と名付けたが、53万円のカバンはまさに「誇示的消費」のために用意された道具ではなかろうか。
見せる相手がいないのなら、ブランドもののFENDIのピーカブーを買う必要はない。ちなみに後日、銀座シックスへ行ってきたヒモさん(私のパートナーである元ホストの男性)に「どうだった?」と聞くと、「うーん、床が綺麗だった」と感想を述べていた。あっぱれである。(北条かや)