今、これだけ世間でグローバル、グローバルと言われているのですが、日本の若い人の過半数が海外に出たいと思っていません。
2015年9月に産業能率大学が発表した「第6回 新入社員のグローバル意識調査」によると、これから海外で「働きたくない」と答える人の割合は64%でした。この「海外イヤ」率は過去最高。2001年には29%しかいませんでした。
尻込みの理由「何か怖い」「英語に自信がない」......
では、今の日本の若い人が、なんで海外がイヤかというと「何か怖い」「危険そう」「英語に自信がない」などということになります。でも、実際に出てみると、海外で生活するのはそれほど難しくはないんですよね。
実際に、このアンケートの対象者の84%は海外留学の経験がありません。そして、海外留学経験のある16%の人に限定すると、そのうちの75%が「海外で働いてみたい」というのです。
つまり、一度でも長期的に海外に出てしまえば「意外と、どうってことはない」ということがわかり、「海外で働いてみたい!」という意欲が出てくるようです。
このようなことは、私も実感しています。たとえば、大学2年生の夏に、私が運営している海外インターンシップに参加してくれた男性のケースがあります。
彼は、カンボジアで1か月間、カンボジア人相手に商売をするという体験から、海外で働くことに対するおもしろさを見い出しました。
「森山さん。これから海外で活躍するために、これからの大学生活でなにをすればいいですか?」
「大学生は、時間はあるけど、金がない。でも、航空券や宿の値段は安くなっているから、どんどん海外のいろんな国にいってみて、その国の状況をみてみよう!」
と、いうことで実際に彼は東南アジアの国々をまわってみました。
タイ、ベトナム、シンガポール、ミャンマー、ラオス、インドネシア...... 行けば行くほど、アジアの成長の凄さを実感し、ここに身を置きたいと考えるようになります。
カンボジアから香港へ
そんななか、大学の留学制度で特待生として香港の一流大学に留学できる制度を見つけます。「これだ!」と思った彼は、すぐに応募します。
カンボジアでカレーを売り、東南アジアを渡り歩いて感じたこと、やりたいと思ったことを志望書に詰め込んだ結果、見事、合格。晴れて1年間、香港に留学することになりました。
カンボジアで1か月すごした体験があるので、「先進国」である香港での生活に不安はありませんでした。しかし、外国人の学生と一緒に学ぶのは初めて。そこには大きな不安もありました。そして、その不安は的中します。
しかし、その挫折が彼のキャリアを大きく変えていくのです。(森山たつを)
(次週に続く)