若手の離職者は、勤続している人よりも週あたりの実労働時間が長いことが労働政策研究・研修機構の調査でわかった。離職の背景に、長時間労働がある。
日本経済新聞・電子版が2017年5月22日付で、「辞める直前、2割超が週60時間以上労働 若手社員調査」の見出しで報じたことで、インターネットなどで人々の関心を集めている。
労働条件、入社前と異なる 男性の約5割、女性の約8割が離職
労働政策研究・研修機構の「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成」調査(2017年2月14日発表)は、1982年4月~1995年3月生まれ(調査時21~33歳)を対象に、2016年2~3月に実施。5196人が回答。そのうち、離職者は2269人(男性42.0%、女性58.0%)で、「親代理調査」を除く5003人の「初めての正社員勤務先」の離職傾向を分析した。
勤続者と離職者のそれぞれの労働時間を、性別・学歴(高卒、専修・短大・高専卒、大学・大学院卒)ごとに比べると、離職者のほうが週の実労働時間の平均値が長かった。
過労死の危険が高まる60時間以上の割合は、男性の勤続者12.3%、離職者30.3%。女性の勤続者は5.9%、離職者19.3%と、大きな差がある。全学歴において離職者のほうが、労働時間が長く、長時間労働が離職の背景であることが明らかとなった。
また、離職者のほうが入社前に聞いていた労働条件(給与・労働時間・仕事内容)と現実の内容と異なっていた傾向が高いこともわかった。労働時間の長さの相違を訴えるものが最多で、そのうち男性の54.9%、女性の78.1%が離職している。
ほかにも、「暴言・暴力・いじめ・嫌がらせ」は離職者の経験率が高めで、男性の49.5%、女性の69.6%と、嫌がらせなどにあった人の多くが実際に離職している。
この報道を受けて、ツイッターでは、
「私だ......」
「一億層奴隷社会」
「過労死基準まで働かせられれば、辞めたくなるのは当然」
「やはり働き方改革が重要ですね。特に長時間労働の是正は急務と言えます」
といった声があがっている。