「よいワンマン、悪いワンマン」
さらにH氏は「よいワンマンと悪いワンマン」という言い方で、ワンマン経営者の良否判定基準をも提示してくれました。
それによれば、「失敗の尻拭いはしても、部下に責任はしっかりと負わせるのが、よいワンマン」。対して、「失敗を叱責はしても、部下に責任を負わせることなく責任をすべて自分で負ってしまうのが、悪いワンマン」だそうです。
一見すると、責任をすべて負ってくれる上司はよい上司に思えるのですが、部下の成長という点から考えるとじつはそうではないようです。
では、「失敗を自責で捉える力を高めさせる」にはどうすればいいでしょうか。私がそこを知りたいと思っていると、出席者の一人がまさにその質問をしてくれました。
H氏は当然質問を想定したのか、待ってましたとばかりに答えます。
「一人ひとりの役割や責任範囲を、より具体的に明示してあげることです。『君に営業部長を任せる。よろしく』ではなく、『君には営業部長として、売上目標の達成と部下の育成を頼む』と具体的に指示することです。『名ばかり役員』『名ばかり部長』は、結局のところ『無責任役員』『無責任部長』になってしまい、一番かわいそうなのは本人です」
近々、Y社長にお目にかかったら、早速この話をしてあげようと思います。長年の社長のボヤキ節が聞かれなくなる日が近いかもしれません。(大関暁夫)