昔から「失敗は成功の素」と言いますが、失敗をした人が必ずしも皆成功しているわけではない、というのもまた事実です。
では、失敗を活かして成功につなげる人と、失敗だけして終わってしまう人の違いはどこにあるのか。その回答について、元ハーバード・ビジネススクール研究員H氏のビジネスセミナーで、なるほどと膝を叩く気づきがありました。
「失敗が人を育てる」の真意のありか
H氏曰く、「失敗を自分の糧として活かせるか否かは、それをどう受け止めるか次第。すなわち、失敗も成功と同じく自分のものとして受け取れるか否かにかかっているのです」 なんとも哲学的な言い方に聞こえますが、氏のこの話の続きをより噛み砕いた言い方で簡潔に申し上げましょう。
人は自身の成功に関しては、自分の成果として喜び噛みしめ自信に変え、次なる新たな飛躍に向けた糧にするのが常であると。しかし、失敗に関してはなるべくなら自分のものとは認めたくないものなのだと。認めたくないものを、いかに「自責」として認めるか、そこに成功への大きなカギがある、と言うのです。
H氏の話によれば、「与えられら課題での失敗を自分の責任」と受け止めた人は、次の課題で成功する確率がそうでない人の3倍にも上がったという、ハーバード時代の実験レポートもあるそうです。
同じ失敗をしてもその失敗を「自責」で捉えられるかどうかが、次の成功に大きな影響をもたらすというのは実に興味深い結果です。
失敗経験そのものが人を育てるのではなく、失敗を自分の責任として受け止め再発防止策を考え講じることで、人は成長していく。この論理は経営者の成否にとどまらず、身近な問題に置き換えれば、社員の人材育成においても同じことが言えるのではないかと感じました。
よく耳にする「失敗が人を育てる」の真意もそこにあるのでは、と思ったのです。