「辞めたい」は「辞める」を知るべし 優秀な部下ほど「決めている」(江上剛)

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「部下が「会社を辞めたい」と相談してきました。その時、「どこも同じだよ」というようなことを言ったのですが、その1週間後に辞表を出されました。正直ショックです。入社5年。優秀な人材で、残って欲しかった。なんて言ってあげれば良かったのでしょう」

   私が、辞表を出した時の話をしましょう。

  • なんて言えばよかったのか ……
    なんて言えばよかったのか ……
  • なんて言えばよかったのか ……

常日頃からコミュニケーションを密にすべし

   私は辞表を出す前日の深夜まで、人事担当役員と別件で話しながら、飲んでいました。その時、私は一言も「辞める」ことを口にしませんでした。

   そして、翌日に辞表を出したのです。人事担当役員はひっくり返るほど驚き、「昨日、深夜まで一緒に飲んでいたんだぞ。一言も、辞めるって言わなかったぞ。なんて不義理なヤツだ」と、周囲に怒鳴りまくったと聞きました。

   そりゃそうですよね。その役員とは一緒に仕事をしたこともありますし、家族ぐるみの付き合いでしたから。彼にしてみれば、裏切られたって思ったでしょうね。

   では、なぜ私は役員に「辞める」と言わなかったのでしょうか。

   それは辞めることを、もう心に決めていたからです。役員から、引き留められても辞める決心を変える気はありませんでした。かえって引き留められたら面倒だ、という思いがありました。だから黙っていたのです。

   あなたは部下に辞められてショックだったようですが、どんな言葉をかけても彼の決心は変わらなかったと思います。

   「辞めたい」と言ってきたときは、「辞める」ということなのです。優秀な部下であればあるほどそうです。

   むしろ「辞めたい」と相談してくる前に、彼とのコミュニケーションをもっと充実させるべきだったかもしれませんね。

   一緒に夢を語るとか、どんな仕事をしたいのかとか、彼のやりたい仕事をやらせるために努力するとか、いろいろですね。それでも辞める人は辞めていきますが......

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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