日本郵政グループの日本郵便は2017年6月から、現行52円のはがき(第2種郵便物)を62円に値上げする。
はがきの値上げは消費税率が8%に上がった2014年4月以来3年ぶりとなるが、消費増税以外では、じつに23年ぶりのこと。「手紙」離れが進んでいることで、はがきの取り扱いは減少している。
はがきの取り扱い、大きく減少
はがきの値上げは、郵便物の取り扱い数が減ったことが背景にある。2015年度のはがき(第2種郵便物)の取り扱い数は、前年度比1.3%減の63億1509万通。枚数にして、およそ830万通も減少した。
取り扱い数の減少について、日本郵便は2017年5月9日、J‐CASTニュースの取材に、「メールの普及で、特に若い世代を中心に文字やはがきを書く機会が減っていることが考えられます。最近では親世代でも書く習慣がなくなってきており、それが子供にも引き継がれているように思います」と話す。
また、収益悪化も理由の一つ。日本郵便の郵便・物流事業の2017年3月期第3四半期(2016年4~12月期)の営業収益は、前年同期と比べて0.3%減の1兆4480億円。「厚生年金料率の負担増から人件費が高騰し、収益に響いた」と説明した。
2015年に買収した豪州の物流会社「トール・ホールディングス」の経営悪化の影響もある。はがきの値上げで、収益改善を図る。
インターネットの掲示板などには、
「値上げじゃ、脱郵便が進むだけwwwww」
「これじゃあ、ハガキ離れが進むわな」
「値上げされたハガキを自爆営業でwww」
「もう葉書は何年も書いてないからなぁ」
「イマドキ、ハガキ書くなんて情弱かよ?メールなら一瞬で送れるだろ」
などと、値上げでより郵便離れ、はがき離れが進むとみる向きが少なくない。
年賀状は52円に据え置き
じつは、はがきのうち、年賀はがきは52円に据え置くことが決まっている。日本郵便によると、毎年12月15日から翌1月7日までを「年賀特別郵便」の期間としていて、この期間内に差し出された郵便はがきを「年賀状」として取り扱っている。
日本郵便は、「現行の52円はがきに『年賀』と書いて期間内に投かんすれば52円で届きますが、年賀はがきでも期間外に出すと普通はがきと同じ扱いになりますから、10円不足することになります」と説明する。
6月1日以降、52円はがきで手紙を出すときには、10円切手を貼る必要がある。
なお、封書も法令上の上限が82円と定められており、値上げしない。