「外様トップ」にはない 「同じ釜の飯を食う」安心感

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「会議で意見が出ない」 それは社長のせいかも?

   このような、自分とはビジネス上の生い立ちが違うことからよく分からない相手にはとりあえず遠慮しておく、というのは人としてよくある心理でしょう。

   相手が目上の人ならなおのこと。さらに相手が全権を握る組織のトップなら、会議は形式に流れやすく組織運営において重要なフォーマル・コミュニケーションが、十分にはその役割を果たすことができなくなってしまう。これは組織内コミュニケーション活性化にとって一大事。じつは、こうしたケースは天下りの「外様トップ」企業に限らず、世に多いように思うのです。

   たとえば、二代目、三代目のトップ。彼らもある意味では、社員から見て生い立ちが違う「外様トップ」であると言えるでしょう。技術系の企業で営業畑の社員がトップに立った、そんなケースも技術系社員からはよく分からないある種の「外様トップ」に映るかもしれません。一代で事業を築き上げ、唯我独尊でプライベートな部分はほとんど見せないワンマントップも、社員から見れば育ちの違う未知の存在ではないでしょうか。

   天下りトップから生え抜きトップに代わった銀行で、組織内コミュニケーションが変わってきた理由がトップに対する「安心感」だったというのは、じつに興味深い話です。

   自分の会社で、トップ同席の会議では幹部社員から意見が出ない。あるいは形式に流れる。そんな会議運営に思い当たりがないか、ちょっと考えてみてください。理由はともかく、もしそうなら社長に対する「安心感」の欠如を疑ってみていいかもしれません。

   では、社長の「安心感」はどうやったら生まれてくるのか。N氏の話から分かることは、とにもかくにも「トップの見える化」に尽きるのではないかということ。社内の見える化にはご執心の社長も、ご自身の見える化には無頓着というのは、私が知る企業でもよくある話のように思えます。

   「トップの見える化」→「安心感」→「組織活性化」。古巣銀行のトップ交代から意外なヒントをいただきました。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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