オイルマネーで潤うサウジアラビアは、2017年3月に来日したサルマン国王の取り計らいによって、所得税や医療費、教育費がタダだ。
米マイクロソフトの創始者ビル・ゲイツは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を通じて慈善団体に寄付。米フォーブス誌によると、2015年に財団が寄付をした金額は14億ドル(約1540億円)にものぼったという。
とかく世界のお金持ちのすることはスケールが大きいが、こうした「寄付」や「慈善事業」への意識がしっかりと根づいている。いわば、「成功者」の証のようなものなのかもしれない。
「寄付なら、使い道がはっきりする」
その一方で、日本での寄付行為は、まだまだ「当たり前」とはいかない。
ところが、日本でも「億円単位」の寄付をする人物が現れた。モーター大手の日本電産の創業者、永守重信会長がその人。私財を投じて、大学を支援すると表明した。
朝日新聞(2017年4月20日付)によると、永守会長は京都学園大学に100億円超、京都大に2億1000万円、京都府立医科大に70億円のがん治療施設の寄付をするという。
これらの寄付に、永守会長は
「税金はどう使われるか分からんが、寄付なら使い道がはっきりする。全部使ってあの世に行くということや。教育が一番良い」
「大学を作るのが夢だった。他国と比べて日本の大学は即戦力を出せていない。企業や社会が求める人材を育てる。金も口も出すよ」
などと話したという。
このニュースに、ツイッターでは、
「すげぇ...」
「このおっさん、素晴らしい。本当に素晴らしい。『感謝』の二文字しかない」
「私も死ぬときには『残さない派』を尊重したいな! 仮に残すのなら、日本電産会長のように『寄付』するかな~! 」
などと、絶賛する声が相次いだ。
「社員には還元されないの?」
ところが賛辞ばかりではないようで、一方では
「日本電産はまずは、土日も祝日も盆暮れ正月なしに仕事という体質を改めて残業代払えよ」
「日本電産会長を礼賛するツイッター民の声が続々ですが、その金は真っ黒なハードワークに従事した社員たちの努力の成果を懐に貯め込んだものなのでは...? という認識なのですが、そこのところどうなんでしょう? 社員の皆さんには還元されないのでしょうか」
「日本電産、死ぬほど働かされて稼いだ金をポンと寄付されて社員は浮かばれないな... 」
「経営者としてブラック気味な人ほど虚栄心を満たすために社会還元したがるんだなあ」
などの声もある。
やっかみもあるのかもしれないが、これまでの経営体制を批判する声も多く上がり、評価は真っ二つ。
いずれにしても、億円単位のおカネを「ポン!」と寄付する姿勢は、他の経営者も見倣ったほうがいいかもしれない。