少しでも通勤ラッシュを避けるために会社の近くや都心に住むか、もしくは家賃の安さを重視して郊外に住むか――。
どちらにもメリットがあるだけに迷うところだが、どうやら今まで「住みやすい」とされていた地域でも、生活費は上がっているらしい。
30代、夫は正社員、妻はパート、2人の子ども
埼玉県労働組合連合会と有識者による「最低生計費調査」(2016年1~3月、組合員など3000人を対象。597人が回答)には、埼玉県内に住む30代、40代、50代が、「人並み」の生活を送るために必要な支出が示されているが、これがなかなかスゴイ。
たとえば、働き盛りの30代のモデルケースをみると、「30代夫婦で夫は正社員、妻はパート勤務、子どもは小学生と幼稚園児。クルマはなし」という4人暮らしの場合、さいたま市郊外の月5万7292円の賃貸住宅(2LDK)に住み、1か月の食費は10万8192円、交通・通信費が3万8210円、教育費2万6986円、教養娯楽費4万5663円で、その合計は43万257円となった。
2008年の前回調査と比べて、教育費と教養娯楽費が合計で3万円近く増えたほか、交通・通信費も1万円余り増えるなど、約6万8000円の増加。この支出を賄うためには、税金や社会保険料を加えた額面で、約50万円の月収(年収約599万円)が必要という。
しかし、収入の実態といえば、埼玉県内の30代男性の平均年収は約411万円(厚生労働省調べ)と、200万円近い開きがある。
この調査結果を、2017年4月17日付の朝日新聞が「埼玉で人並みの生活、月収50万円必要 県労連が調査」の見出しで報じた。
「月50万円」という数字に、ツイッターでは、
「俺、人間以下だわ」 「嫁パートで食費月11万、娯楽費月5万ってどんな贅沢な暮らしが人並みなんだよ埼玉県w」
「月収50万以下は人じゃねぇってか。埼玉に住むにしてもその半分でも暮らしていける自信あるわ。嫁と子供の4人家族だろ? そう考えても月に30万もあれば暮らしていけるだろうに」
「やはり、野原ひろしはできる男だよなぁ。子供2人に、持ち家、マイカー、嫁は専業だしな」
「健康で文化的な生活、は憲法で補償されてるはずだけど、もはや子どもを育てる家庭は贅沢の域。そういう国に未来ってある?」
といった悲鳴にも近い声があがっていた。