筆記具の売り上げは伸びている。日本筆記具工業会が2017年3月に公表した「筆記具統計」によると、輸出を含めた2016年の筆記具の販売総額は約1640億円で、前年と比べて約44億円増えた。
パソコンやスマートフォンの普及で手書きの機会が減りつつあるが、筆記具の売り上げは落ちていない。
海外進出が大きく寄与したパイロット
日本筆記具工業会の「筆記具統計」によると、5年前の2011年の売上高は約1298億円。2016年は当時と比べて341億円増え、約1640億円だった。
売り上げが伸びている理由を、工業会の担当者は5月1日のJ‐CASTニュースの取材に、「高機能・高付加価値の筆記具の売り上げ本数が増えており、単価を押し上げている。このことが全体の売上高を押し上げたのだろう」と説明した。
「SUPER GRIP」などを製造・販売しているパイロットコーポレーションは、2016年12月の売上高が983億円と、前年同月比で290億円増えた。その理由について、同社は「国内では人口減から市場は横ばいになっていましたが、海外進出に力を入れ始めました。国によっては10本100円で筆記具を売っていましたが、国民の所得が上がった結果、1本100円で買えるようになったことが、売上高が上昇した理由と考えております」とみている。
摩擦で筆跡を消せることが人気を呼んでいる「フリクションシリーズ」が売れ筋だ。
「お金を出してでも、自分で好きなものを買うようになった」
また、三菱鉛筆の2016年12月の売上高は647億円。前年同月比で137億円増加した。同社の売れ筋は油性ボールペンの「JETSTREAM」(2006年発売)。発売から10年経った現在でも、年間1億円売り上げるメガヒット商品となっている。
増加要因について、三菱鉛筆は「2008年のリーマン・ショック後、会社は経費削減のため、事務用の筆記具を買わなくなりました。その代わりに、個人が自分で好みの、使いやすく機能的なボールペンなどを、多少高くても買うようになりました。それが増加の理由と考えています」と話している。