おしゃべりだと英語力は高まるか
高い語学力が求められる仕事の現場の状況を知るため、J‐CASTヘルスケア編集部では国際会議の舞台で長年活躍している女性通訳者に取材したところ、匿名を条件に応じた。まずフリー会議通訳者は、本人の感覚的な男女の割合は「9対1ぐらいで女性」という。ただし男性が少ない理由は、フリーランスの場合需要に季節性が強いので収入が変動する点が大きいと考えている。それでも、「いずれにしても通訳者に関する限り、圧倒的に女性社会」。
この通訳者の視点で日本人を見ると、女性はもともと言語面で「ベターコミュニケーター」、男性の場合は「黙って行動」タイプが多いと映る。
先述の「話を聞かない男、地図が読めない女」には、女性はおしゃべり好きの人が多いとの指摘がある。女性は脳の左右両方を使って、たくさん話す。また女性は脳の発話ゾーンが決まっているので、外国語習得が楽だし速いという。同書は1998年の英国のデータを引用して、外国語教師の男女比を示している。例えばスペイン語教師は全体で2700人、うち女性は78%だ。フランス語は1万6200人中75%が女性、ドイツ語も8100人中75%が女性となっていた。
この内容について女性通訳にたずねると、「話し好きの人の方がスピーキングの上達は早いかもしれません」としつつ、語学力を総合的に考えた場合、間違った内容をペラペラ話すだけでは相手とのコミュニケーションは成り立たず、習熟しているとは言えないと指摘。「おしゃべり」イコール「流暢」ではないと強調した。
一方で、日本人の中にはあまり英会話をしなくても格調高い英文を書けたり、難しい論文を読んで理解できたりする人は多い。さらにビジネスの現場では、発音が美しいかどうかは問題にされず、社会常識や文化的な下地がある、ビジネス上の駆け引きができる、専門分野に精通している点が重要であり、「そういう意味では、(日本人)男性の優れたコミュニケーター、プレゼンターは数多くいます」と話した。
冒頭のTOEICの男女差については、女性の方がまじめに勉強する、努力してテストで良い点数を取る人が多ければ結果として高くなるため、英語力に男女差があるかどうかは、何とも言えないとした。