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彼には助け出せる勝算があった

   二人の存在を確認した運転士は緊急警報を鳴らしブレーキをかけますが、時すでに遅し。電車はそのまま時速110キロのスピードで踏切内に突入し、大きな衝突音を残して隣接する駅ホームを大きく超えようやく停車しました。

   彼が遮断機をくぐってから衝突まで約2秒だったと言います。電車は秒速約30メートル。その時、電車はすでに踏切の60メートル手前に猛スピードで迫っていたはずなのです。そんな足がすくむような状況下で、彼はなぜ遮断機をくぐったのでしょう。誰にでも常識的に分かる自殺行為だったはずなのになぜ、という疑問だけが残るのです。

   もちろん人が目の前で命を落とすかもしれないという場面に出くわし、多少冷静さを失っていたのは事実でしょう。しかし人はいかに正義感が強くとも、自らの命を投げ打ってまで見ず知らずの他人の人助けに動くかと言えば、答えはノーであると思います。

   すなわち、彼にはその瞬間に助け出せる勝算があったから、助けに飛び込んだのだと思うのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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