浅田選手の引退表明に浮かんだベテラン社長の顔、顔、顔
もう一つ、地域金融機関の経営をめぐるニュースで、金融庁の新しい方針として「脱日本的金融」を掲げたという話。「脱日本的金融」が意味するところは、銀行のこれまでの担保と保証に全面的に頼った融資姿勢を改め、個別企業の事業の将来性をしっかりと捉え共に発展していく事業性評価融資に移行せよと言っているのです。
評価軸の安全性から成長性への移行。簡単ではありませんが、企業の発展を通じて地域経済を活性化させるために金融庁の方針は至極理に叶った話であり、各銀行の今後の対応に注目が集まるところです。
この話には、「黙って大手企業から仕事がもらえた昔と違って、今は中小企業でも本気で人を育てないと生き残れない時代になった」とお悩みだった、工作機器製造S社のR社長が思い浮かびました。
「十年一日の如く同じ仕事を任せて正確さ最優先で評価してきた社員を、どうしたら新しい仕事に積極的に向かわせられるのか」、そんな悩みの解決ヒントが少し見えたような。担当業務の完璧度に重きをおいた今の評価から、新しい業務への取り組み姿勢をもって成長可能性と評価することへの移行が不可欠かと。
金融庁が事業性評価移行で銀行に方向転換を迫るように、評価軸を変え社員を動かすことの有効性が浮かびました。
最後に企業ニュース以外でもひとつ。フィギュアスケーター、浅田真央選手の引退表明。これには、多くのベテラン社長方の顔が思い浮かびました。自身のピークアウトを悟り、速やかに後進に道を譲ることの美しさと潔さ。さて、このニュースが己の進退に対するヒントであると気がつく社長が何人いるでしょうか。(大関暁夫)