店長の離職に悩む居酒屋チェーン社長のケース
せっかくなので、最近のニュースで私の頭に浮かんだ中小企業マネジメント的ヒントの具体例を他にもあげてみます。
東芝問題と並んで最近メディアを賑わせているのが、ヤマト運輸の人手不足問題です。人手不足への対応として、配達時間の短縮を図るとか、ネット通販大手アマゾンの当日配送を取りやめるとかの対応が報道されました。
若年労働力の絶対的な不足と、ネット通販の利用拡大による業務量の増加が、職場的にブラックイメージを定着させてしまうことになり、一層の人手不足に陥る悪循環にハマってしまった結果とも言えそうな状況です。
このニュースで思い浮かんだのは、首都圏で居酒屋を数店舗経営するT社長。先日お目にかかった折にぼやいておられたのが、「人」の問題でした。
「とにかく人手不足。バイトの定着率も下がっているのだが、より深刻なのは店長クラスでも平気で突然辞めていくという流れ。うちは業界でも待遇はいいはずなのだが、給料を上げて引き止められるものでもない。それと、以前は同業からの店長クラスへのヘッドハントで辞めるケースが多かったが、今は同業ではなく異業種に流れているようだ」と話すT社長。
まさしく若年労働力に頼る店舗運営は、宅配業界と相通じるものがあります。居酒屋も、顧客ニーズの高度化でメニューが増えて仕込みが複雑になって早出を強いられたり、売り上げの確保と顧客PRの目的でランチ営業をはじめたことでの拘束時間の長期化は如何ともしがたく、労働環境の悪化が人離れを加速しているようでした。
ヤマト運輸に学ぶ解決の糸口は、一部業務の取り止めも含めた根本的な労働環境の見直し以外にはない、そんな感じがしました。