高島屋・大阪店で、哺乳瓶などの子育てグッズが中国人の「ママ友」に大人気で、バカ売れしている。
日本製であることの「安全・安心」に加えて、ファッション性を重視するようになった中国人の母親層が倍々ゲームで消費を拡大している。
恐るべし! 中国人ネットワーク
2017年4月8日午前、高島屋・大阪店6階の約200平方メートルの売り場「ハローベビーサロン」。新生児や妊産婦に向けた衣料や商品を取り扱っており、中国人らしき女性客がスマートフォンで商品の画像を店員に見せている。
店員が手際よく画像の商品を見つけ出して手渡すと、満足した様子で財布を取り出す。この売り場では日常的な光景で、こうした方法で商品を購入する中国人客が次々と現れる。
夫婦で来店していた30代の中国人女性は「SNSで知って買いに来た」と話し、友人からスマートフォンに送ってもらったという画像でお目当ての商品を確認。数種類のクリームやローションなどスキンケア商品を買っていた。
別の日に哺乳瓶を買った中国人女性も「(インターネットで)友達同士で薦め合っている。安全で安心だから」と情報収集の方法や購入理由を説明する。
この哺乳瓶を使用した購入者が好意的な感想をSNSで拡散しており、中国のママ友のネットワークを通して一気に超人気商品となった。自分が使用するためだけでなく、友人からの依頼やプレゼント用に購入する人も多いという。
2017年4月11日付の大阪日日新聞には、売れ筋は哺乳瓶のほか、クリームやローションなど母子のためのスキンケア商品、妊娠・分娩で緩んだ骨盤を固定する産前・産後骨盤ベルトなどとあり、中国を中心とする訪日外国人客への販売が「爆発的に伸びている」(売り場担当者)という。
哺乳瓶、16年度上期は前年のなんと51倍に
2016年度の売り上げの伸びを前年度同期と比べると、哺乳瓶は16年度上期に、じつに約51倍も伸び、下期にも約4倍へと拡大した。スキンケア商品も同上期に約7倍、下期に約11倍と急増。産前・産後骨盤ベルトも上期に約7倍、下期に約16倍の伸びを記録した。
3種類の商品が売り場の中で占めるスペースは小さいが、売り上げには大きく貢献している。
「ハローベビーサロン」は2016年9月に、ブランド別に商品を置いていた新生児衣料・育児用品・マタニティー用品ゾーンを、買いやすさを追求して再編成。「マタニティー」「出産準備・おうち」「おでかけ」など、子育てシーン別の展開でライフスタイルを提案している。
「働くママ」や「育児に参加するパパ」が増えたことで、家族がいっしょに子育てのあらゆるシーンを楽しみ、育児用品にもこだわるといった子育て世代の意識の変化に対応。ベビーウェアや育児用品の新規ブランドも販売している。
もともと訪日外国人客に特化した売り場ではなく、インバウンド消費の急増はうれしい誤算。子育てファッションを楽しむ日本人女性も多く訪れるようになっている。(水上守)