「新たな目標」がお座なり そこに「WHY」はありますか?

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米経営学者、サイモン・シネック氏の言葉

   この目標設定の仕方からは、もう一つT社長の目標指示に関する問題点が見えます。それは、目標の数字とその達成方法。すなわち何をどこに売るのかは明確に提示されているのですが、なぜその目標数字なのかという説明が欠如しているのです。

   少し前に話題になった書籍ですが、米国の若手経営学者サイモン・シネック氏は著作「WHYから始めよ」の中でこう言っています。

   「企業や組織は、「自分たちのサービスやモノ=WHAT」、あるいは「手法=HOW」といった見た目に分かりやすく、明確なものから伝えたくなるのだが、人は「WHAT」や「HOW」だけでは動かず、その根底にある「理由=WHY」にこそつき動かされるのだ」と。

   T社長はまさしく、目標数字とその達成に向けた「WHY」と「HOW」は提示されていたものの、肝心の人を動かす「WHY」が欠如していたのです。

   そうです「WHY」提示を前提で考えるなら、説明のつかないストレッチレベルを超えた単純割増の高い目標など、到底提示できるはずがないのです。「WHY」の欠如がすべての根源にあるように思えました。

   「なるほど。単純に目標を高く、高くしてもそれはむしろ逆効果というわけですね。それよりも、『理由=WHY』をもって、『コレをココに売ればこれだけ売れるはず』と提示してその積み重ねで目標数字の裏付けを見せてやれと。全体会議までまだ時間があるので、いただいたヒントを参考に考え直してみますかな」

   T社長が2017年の目標会議をいかに運営して、それを社員がどう受け止めるのか、「WHY」の効果をちょっと見てみたいと思いました。そのあたりのお話が聞けることを楽しみにして、次にお目にかかる機会を待ちたいと思います。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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