仕事は誰かに任せなさい 「自分がやらねば」は病気かも(高城幸司)

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   仕事のできる人はチームで、かつ誰かに「任せる」ことが上手です。

   任せることで、自分はさらに高いレベルの仕事に向かわなければならなくなる。それができない人は、自分の成長をとめることになります。

  • ヨイショされて・・・
    ヨイショされて・・・
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「頼りにしています」とヨイショされ......

   ピーターの法則によれば、「人材はその組織内で昇進できる限界点に達する。人は昇進を続けてやがて無能になる」としています。仕事を任せることがビジネスリーダーの条件とすれば、リーダーとして成功しないと自覚して、仕事を任せない範囲でとどめているとも言えるのではないでしょうか?

   ただ、仕事を任せることは簡単ではありません。どうしてか? それは仕事に対する「縄張り意識」に縛られるからではないでしょうか?

   その典型が「自分しかできない」という縄張り意識。おそらく「頼りにしています」などと周囲からヨイショされる機会があってのことなのでしょう。こういう縄張りを意識する人は「手柄」を取られたくないという自我が強いため、他人に仕事を任せません。

   でも、大抵の仕事で代わりは社内にいるもの。もちろん、長く関わったため、属人性が高まった仕事を任せるには手間はかかります。ならば、手間かけて仕事を任せればいいのですが、任せた誰かが成功することが容認できない。

   ところが、これこそが勘違い。本来は仕事を任された人が評価されれば、任せた人も評価されるのが組織の原理原則。自分の縄張りで他人が成功することを自分の喜びに変えなければなりません。

   こうしたタイプに限って、「仕事がバタバタしていて...」と自分のホワイトスペース(空き時間)がない状態が好きな傾向があります。「忙しすぎて参ったな」と口にしながらも、仕事で時間が埋まっていることで、「自分は頼りにされている」「誰かから必要とされている」と実感できるのが好きな人。ある意味「忙しさ大好き病」とも言える人です。

最悪! 仕事は右から左へ受け流す

   そういう「忙しい状態の自分に酔う」タイプの人は、ホワイトスペースができると、そこに仕事で埋めたがります。それも、自分の手を動かすものばかり。仕事は、手を動かさずとも、アイデアを熟考したり、先を考えたり、情報収集をしたりなど、いろいろな中味があってしかるべきなのに、です。

   そのような性分の人は、仕事を他人に任せて、突然ぽっかりと穴が開いたように時間ができてしまうと、不安になってしまう。だから任せられない。貧乏性というか、ワーカホリックと言いましょうか(独立開業している人、起業している経営者などにもよく見かけられます)。日々、強いプレッシャーのもとで仕事をしていると、真っ黒に埋まっていないスケジュールを見るたびに、「こんなことで大丈夫なのだろうか? 」と不安になってしまうのです。

   しかも、「自分がやらなければ」という意識が強すぎて、本来は振るべき仕事を抱え込んでしまっていたりします。筆者自身にもそういう面があるので、気持ちはよくわかります。

   ただ、常にスケジュール帳のスペースが埋まっていると、より価値の高い仕事を振られたり、新たなビジネスチャンスが到来したりしても、手を挙げられないという弊害があります。そうならないためにも、仕事を抱え込まず、ホワイトスペースを常に作っておくべきではないでしょうか。

   さらに、仕事を任せられない人でもっと悩ましい人がいます。それは任せたふりして最後に「他人の手柄を横取りする」タイプ。上から降ってきた仕事をほいほい受けながら、そのまま横へ、下へと丸投げします。

   そして、その仕事が成果となると、まずは任せたこと自体を隠して「すべて自分がやりました」と報告。任せたことが隠せない場合は「すべて私が手ほどきをした」「一番難しいところは、自分がやった」とウソの申告。他人に任せないタイプよりさらに悪質です。

   このタイプは、短期的に評価されることがありますが、まっとうな組織であれば、いずれ自滅します。やはり仕事を任せたら、その人が正当に評価されるようにし、それによって自分自身もきちんと評価されるという「王道」が大切と認識しましょう。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
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