戒名に地方相場、100万円近くかかった人も
戒名、法名、そして宗派によっては法号と呼ばれるこの種のものは、死んでから慌ててつけると、とにかく高いものになる。
母親を亡くした地方在住の知人女性に「戒名料はいくらでしたか」と尋ねたら、「この地方の相場ってものもありますしねえ」と、言葉を濁す。立派な戒名で、100万円に近かったらしい。寺からはあからさまには要求されないが、その地の「相場」からは逃れられないようだ。
以下は全日本仏教会のホームページからの抜き書きである。
「高い戒名料をとられた、などという疑問や不満がお寺に対する不信感につながり、それが社会問題化しているのではないかと危惧しています」
「なお、生前に戒名をいただくことも良いことです。その場合には、菩提寺の住職にお問い合わせください」
全日本仏教会も戒名の不評は承知なのだ。生前に戒名をもらうようにも勧めている。ただ、それでどの程度、安くつくかは、まったく触れていない。日本の年間の死者数は130万人だから、一人当たりの戒名料が30万円なら年3900億円、50万円なら年6500億円の戒名市場である。仏教界も「死後の戒名」をできれば手放したくないのかもしれない。(岩城元)