「正社員向けの転職サイト」「今すぐ正社員として働きたい! 」「未経験OK・正社員求人」など、就職情報サイトなどには「正社員」の採用を強く打ち出したフレーズが目にとまる。
終身雇用が当たり前だった時代が遠くなっても、生活を安定させるには「正社員」として働くことが近道と考えている人は少なくないのかもしれない。
「放送」7割、「警備」や「建設」6割超す
ところが、帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査 2017年1月」(有効回答1万195社、回答率42.8%。2月21日発表)によると、約4割の企業で「正社員不足」を実感しているという。
企業の43.9%で「正社員が不足している」と回答。過去10年で最も高かった。業種別にみると、トップは「放送」の73.3%。さらに「情報サービス」の65.6%、「メンテナンス・警備・検査」62.9%、「人材派遣・紹介」60.8%、「建設」60.1%と、4業種で6割を超えていた。
規模別では、「大企業」が51.1%、「中小企業」は42.1%、「小規模企業」では38.2%と、規模の大きい企業ほど正社員不足を感じているようで、さらに大企業の人手不足が中小企業の人材確保にも影響を与えている可能性があるとみている。
深刻な人手不足だが、長期化すれば、企業にとっては人件費の上昇などのコストアップにつながるだけに放ってはおけない状況にある。
このニュースに、ツイッターでは、
「『何が正社員不足だ、今いる非正規雇用の人を正社員として雇えよ!! 』って感じだが、どうせ『違うの~! 我々が欲しいのは新卒からずっとうちで正社員やり続けてる生え抜きのベテラン正社員なの~! 』とか言い出すのだろうな」
「正社員不足って40代半ば以下正社員として採用しないで非正規で使い潰しておいて、バブル前の中堅が定年迎えて遂にガタガタになっただけでしょ? 企業の自業自得じゃん」
「そりゃ非正規雇用を主力に現場回す構造を十数年続ければそーなるべ」
「『正社員不足』って言われてもすぐにでもそのハケンを正社員にすりゃいいだけだし、欲しいのは『20代の給料で働く30代以上の経験のある社員』だからな、正社員が足りないとか言ってるのは」
と、反応は冷ややかだ。
「一日休みがあると1万円減るんです」
一方、正社員待遇でない人の働き方について、実際に非正規で働いている人からは、
「うちの会社は正社員様(大卒、専門卒)/正社員(高卒)ここまでが人間/非正規というヒエラルキー」
「盆暮れに正社員が『今年は土・日が入って休みが少ない! 』『損!損! 』と、楽しそうに愚痴っているとき派遣社員は『ほっ』としているんだよね。派遣さんに『一日休みがあると手取りが1万円減るんです。手取りが月20万くらいなので1万て大きいんです』て言われてつらかったよ」
といった、なんとも切ない声が上がっていた。
また、ツイッターを見ていくと、「バイトはエレベーター使用禁止」というニュースが注目を集めていることも分かった。
もちろん、「勤務地・勤務時間の都合がつきやすい」「いろいろな職種にチャレンジできる」といった、自己都合で派遣や非正規という働き方を選んでいる人もいるだろう。
とはいえ、「働き方」の違いが、職場内での温度差や待遇の格差につながれば、業務に支障が出かねない。企業の悩みは深い。