カンボジア人が好きなもの、誰にもわからない
売れないワケが予見されるポイントをいくつか説明します。
(1)試食会での顧客の反応を、アンケート用紙ではなく食べている時の顔で見たか?
(2)自分が顧客だとしてこの価格設定で買おうと思うか?
(3)暗い会場で「スパボー」がどう見えるか?
などです。
同時に、きちんとスタッフと一緒に作ったこと、途中で諦めずに売る姿勢を最後まで貫いたことなどは、きちんと評価します。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
こうやって、実際に動いてみることで、足りなかったものは何かを自主的に考えるようになるのです。
今の日本の教育は、失敗しないためにはどうすればいいのかを必死で教えています。しかし、本当の学びは失敗の中にあります。講師がうまく行かないことが見えていたとしても、失敗の後始末をする覚悟をもって、見守ってあげることで、若者が自分で気付いて、修正する方法を学ぶのです。
その後、さまざまな紆余曲折を経て2週間後、また市内で今度はカレーパンを売ることになりました。
そこで、この前も来てくれたカンボジア人のお客さんが一言
「今日は、スパボー売ってないの?」
ヤバイ。スパボー、ウケてた。
カンボジア人が何が好きかなんて、誰にもわからない。だからいろんなモノにチャレンジすべきだと言い続け、実際に時に大赤字を出しながら売り続けると、こういうことが起こるのです。
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
このスパボーの売り上げを伸ばすため、どのように工夫するかが次の課題。彼らの試行錯誤を見守る日々が続きます。(森山たつを)