山本五十六の言葉が身にしみる カンボジアの「スパボー」売り体験

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カンボジア人が好きなもの、誰にもわからない

   売れないワケが予見されるポイントをいくつか説明します。

(1)試食会での顧客の反応を、アンケート用紙ではなく食べている時の顔で見たか?
(2)自分が顧客だとしてこの価格設定で買おうと思うか?
(3)暗い会場で「スパボー」がどう見えるか?

などです。

   同時に、きちんとスタッフと一緒に作ったこと、途中で諦めずに売る姿勢を最後まで貫いたことなどは、きちんと評価します。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」

   こうやって、実際に動いてみることで、足りなかったものは何かを自主的に考えるようになるのです。

   今の日本の教育は、失敗しないためにはどうすればいいのかを必死で教えています。しかし、本当の学びは失敗の中にあります。講師がうまく行かないことが見えていたとしても、失敗の後始末をする覚悟をもって、見守ってあげることで、若者が自分で気付いて、修正する方法を学ぶのです。

   その後、さまざまな紆余曲折を経て2週間後、また市内で今度はカレーパンを売ることになりました。

   そこで、この前も来てくれたカンボジア人のお客さんが一言

「今日は、スパボー売ってないの?」

   ヤバイ。スパボー、ウケてた。

   カンボジア人が何が好きかなんて、誰にもわからない。だからいろんなモノにチャレンジすべきだと言い続け、実際に時に大赤字を出しながら売り続けると、こういうことが起こるのです。

「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」

   このスパボーの売り上げを伸ばすため、どのように工夫するかが次の課題。彼らの試行錯誤を見守る日々が続きます。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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