化石上司の一言 「結婚して一人前」はセクハラ、パワハラだ!【江上剛】

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「上司がストレートに言います。『人間は結婚して一人前』と。独身で気楽に生きていくというのはいけないことでしょうか」

   イマドキ、そんなことを言う上司がいるんだね。化石ものだ。それはいまや女性に言えば、セクハラであり、男性に言えばパワハラってことになりかねない。

  • 結婚するもしないも、あなたの判断
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「職場の花」はもはや死語

   昔は、よく言ったよね。この、「結婚して一人前」って言葉。今でもプロ野球選手なんかは、早く結婚して落ち着けば成績が上がるといわれる。

   この言葉は、家族を養うという責任を持つことで、夜遊びしなくなり、無駄遣いしなくなり、仕事にもさらに熱心に取り組むようになるという、結婚することで仕事における良い効果を期待しているわけだ。

   でも、この言葉はあなたの言う「人間は」ではなく「男は」っていう前提条件付きだから、現在のように男女同権の時代には相応しくないね。

   この言葉が広く使われていた頃、女性は結婚退職が一般的で、「早く結婚して、退職したら」とか、「職場の花」とか言われ、なかなか結婚しない女性社員は「姥桜」「お局」と、平気で言われた時代だからね。

でも、結婚も悪くないよ

   ところで、あるデータによると日本の離婚は3組に1組だってさ。成田離婚、熟年離婚、死後離婚など、最近は結婚より離婚の話題のほうが多いくらいだ。こうなると「離婚しないと一人前じゃないぞ」などといわれかねない。

   離婚の原因は、性格の不一致、浮気、経済問題、暴力などいろいろだけど、結婚したからって誰もが仕事に打ち込めるようになるわけじゃない。そんなことをして家庭を省みず、仕事一途になったら、家庭が崩壊して、離婚になるわけだ。

   結婚は、あなた任せ。いい人が現れたら結婚するといい。これは男女の自然の結びつきだ。恋も結婚もしないで終わるのは、これはこれで寂しいからね。私の経験からいうと、独身で気楽というのも間違い。「結婚して気楽って」ってこともあるから。

   上司の言葉云々じゃなくて、結婚を考えてもいいんじゃないのかな。

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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