「よし、英語にチャレンジするぞ!」と決意をしたものの、仕事に忙殺されて気持ちだけが空回りしていませんか?
今度こそ気持ちだけで終わらせないために、英語の資格・検定試験を受けることをオススメします。試験を受けることで学習の「ゴール設定」ができ、モチベーションをキープできるからです。
「ノルマ」設定でダラダラ学習を避ける
今回は社会人が英語試験を受けるメリットと「心構え」についてご紹介しましょう。
正直、仕事をしながら試験に挑戦することは大変です。それでも私が定期的にTOEIC(R)L&Rを受験している理由は、「ゴール設定」をするためです。裏を返せば、「学習する目的(ゴール)」を強制的につくらないと、怠け心に負けてしまうからです。
社会人には、期末試験などの定期試験も受験もありません。仕事が忙しいと、ついつい英語の勉強は後回しになってしまいがちです。私も40代で再チャレンジを決意したものの、ある時、いつまでたっても上達しないのは、「いつまでに」「何をする」という「ゴール設定」があやふやなことが原因だと気が付きました。ノルマや締めきりがないと仕事の効率が落ちてしまうのと同じです。
TOEICを受験するようにしてからは、意図的に「ノルマ」と「締めきり」をつくることでダラダラすることがなくなりました。たとえば、「5月(次の試験)まで」に「問題集を1冊終える」など、「期間と学習量を具体的に決める」ことがポイントです。
比較表を見てください。TOEICは受験料が安くて試験時間も短いことが分かります。社会人にとって受験料や試験時間も大切な条件ですが、注目すべきは「フレキシブルな試験日程」です。
英検の年3回に比べて、TOEICは10回も受験チャンスがあります。仕事のスケジュールと調整をして受験日を選ぶことができますし、短期間に集中して受けたり、数か月ごとに定期的に受けたりと、それぞれの目的に応じた受け方ができます。
できれば、最初の半年間に集中して2~3回。その後は一定の期間をおいて定期的に受験することをオススメします。短期間で一気にベースをつくった後に、少しずつ実力をアップしていく作戦です。私は、今でも年2~3回のペースで受験しています。
「とりあえず受験」しなければ始まらない!
ここでのポイントは、TOEIC(R)L&Rの受験はスコア(結果)ではなく、「プロセス(過程)をチェックすること」を目的にすることにあります。
「あ~、今回も700点超えられなかった!」とスコアに一喜一憂するよりも、その時点での自分の英語力を測る「定期健診」と割り切って、個々の分析数値に目を向けましょう。スコアが下がっても気にしないこと。弱点を知り、次回までにカバーすればいいだけです。
それにしても、TOEICのスコアの正確さには毎回驚かされます。頑張った時はスコアが上がり、ちょっとでもさぼった時はスコアが下がります。試験結果が戻ってくるたびに、リスニング、文法、リーディングのどの部分をもっと鍛えるべきかが正確に分かるので、効率よく学習を進めるための「ペースメーカー」だと思っています。
正直、結果が悪いと落ち込みますが、「心構え」ひとつで気持ちはぐんと楽になります。じっさい、私がTOEIC受験を続けていられるのは、「スコアは二の次。大事なのはプロセス」と呪文のように自分に言い聞かせているからです(笑)。
もう一つ、TOEICを受験するにあたり大事なポイントがあります。それは、準備が整う前に「とりあえず受験」すること。定期健診が目的ですから、とにかく初回は早めに受けましょう。どんなに結果が悪くても、そこから一歩ずつ進んでいけばいいのです。
「準備万端」を待っていたら、いつまでたっても「健診効果」を期待できませんよ!(井津川倫子)
今週のニュースな英語 ~前代未聞「unprecedented」の時代? ~
最近、ニュースでよく目にする単語が「unprecedented」です。「前例がない」とか、辞書によっては「未曾有の」という意味が紹介されています。
恥ずかしながら私は学校の授業で習った記憶がないのですが、ビジネスの場面でもよく使われる単語です。たとえば、「unprecedented corporate‐profit growth 」(前例のない企業利益の伸び)という使い方です。
とはいえ、「unprecedented」で思い出すのは、やはりトランプ米大統領です。
2016年12月、自身のツイッターで「unprecedented act」(前代未聞のひどい行為だ)と中国を批判したつもりが、スペルを間違えて「unpresidented」という実在しない単語を打ち込んでしまいました。
スペルミスをした単語が、「unpresidential」(大統領にふさわしくない)という単語に似ていたことから、「大統領にふさわしくない行為だ」と皮肉られる始末。あわてて1時間後に正しいスペルでツイートしなおしたのですが、まるで最初からウケを狙ったかのような絶妙なスペルミスでした。
まさに、「事実は小説よりも奇なり」(Truth is stranger than fiction)ですね。