行政側は反発
一方、労働行政を担う職員で組織する全労働省労働組合(全労働)は、「労働基準監督業務の民間委託の検討に関する意見」を、2017年3月14日に発表。 労働基準監督業務について、
「強制力を背景にした関係職場への立ち入り、関係書類(電子データを含む)の閲覧、関係者への尋問等を通じてきめ細かく実態を明らかにしていく作業が不可欠であるが、権限のない社会保険労務士等の調査では実効性の確保が難しく、話を聞くだけで終わってしまう可能性がある」
「企業の立入調査に赴く際には、当該企業の事前の情報収集が重要であるが、行政システムに蓄積された多様な情報(違反歴を含む)を、契約上の守秘義務しかない社会保険労務士等と共有することは、まったく不適切である」
など7項目のデメリットをあげ、
「労働基準行政職員は2017年度も43名が削減されており、圧倒的に不足している。こうした中で検討が開始された監督業務の民間委託は、労働基準行政職員を増やさない口実にすらならないばかりか、きわめて有害であることから、高い専門性を備えた労働基準行政職員を直ちに増員すべきである」
と、民間委託ではなく労基職員を増やすよう求めている。
確かに、情報の取り扱いなどで問題が生じる恐れはあるし、その言い分はわからないでもない。行政側の反発は強そうだが、一般からは異なる見方も出ている。ツイッターをみると、
「労基自体が激務で疲弊している部分もあるので妥当な案だと思う。なぜこれまでそうしなかったのか」
「『民間委託』をどんどん進めて国民の20%が何らかの形で労基に携わってるような社会になれば、職場の監視システムが機能し労基法違反は即刻検挙、送検可能になるのではないか」
「監督官を増やし、労基内部のシステムを変えれば、民間に降ろす必要はないだろう! と思ったが。しかし困った時の『民間の飛び込み寺』みたいなものがあっても面白いかも」
など、賛同意見が書き込まれている。(MM)