ブラック職場に「指示待ち人間」あり! 突然ぶち切れた腹心は...

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上場目前に起きた反乱

   そんな折も折、私が同席していた会議で、社長から次々と新たな指示が出され、その中で追い打ちをかけるようにM部長に厳しい叱責、指示が投げかけられました。「採用コストが高い! 君は上場の足を引っ張る気か。定着率をすぐに上げろ! 」。険悪なムードを察知し、私が口をはさもうとしたとき、事件は起きました。

   「二言目には上場、上場と無理難題ばかり。もうやってられません! 私は降ります。長い間お世話になりました」と、M部長がいきなりぶち切れたのです。これには全員が唖然。何より創業から黙ってついて来たイエスマンの反乱に、F社長は言葉を失いました。

   結局、M部長を失っては会社が立ち行かないと悟った社長は思案の末、方針を大幅変更し上場計画も一たん取り下げました。M部長は社長の方針転換をもっての説得により、退職を思いとどまり今に至っています。

   会社は過去ほどの急成長にはないものの、「ほどよいワンマン経営」に移行。幹部社員からも経営方針に関する意見が出されるようになり、順調に業容を拡大しています。

   ソニンさんのエピソードに見るところの「イエスマン=指示待ち人間」の限界点は、突然訪れるのです。イエスマンばかりで「一人天下」の経営者は、部下に対する要求に行き過ぎがないか、自己チェックが常に必要なのです。突然の破たんリスクがそこに存在するということをお忘れなく。

   元アイドルの指示待ち体験談から、意外な気づきを得た一件でした。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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