人は「不安」から逃れられない 没頭できることをやってみよう!(江上剛)

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「40歳をいくつか過ぎて、漠然とした焦りを感じます。どのように気持ちを落ち着かせればよいのでしょうか」

   あなたの問いは、深すぎて答えはないね。無理だと一言で片づけたいところだけど、そう言うと身も蓋もない。

  • 人は不安だらけ
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いくつになっても「不安」だらけ

   漠然とした焦り、それは不安なのだけど、60歳をいくつか過ぎた私も感じる。捉えようのない焦り、不安。人生の終わりが近づいてきたせいなのか。あまりにいろいろなものを持ち過ぎたのか。

   無為自然を唱えた中国の古代の聖人、老子は「無為を為し、無事を事とし、無味を味わう」と言っている。

   とにかく何もしない何もないのが一番だというんだね。

   これは本当のこと。

   あなたも40歳を過ぎたのなら、妻も子供もいるでしょう。自分のことも気になるけど、妻や子のことも気になる。子のことは妻のことよりずっと気になるかもしれない。子の成績が良ければ、良いで不安。デキが悪けりゃ悪いでもっと不安。

   こうなると妻も子もいない人が羨ましいだろうね。心配事がそれだけないのだから。でも妻や子がいない人は、この先もずっと一人で寂しい老後を過ごすのかと想像するだけで不安になる。

   また、あなたがお金持ちだったら、減らないか、取られないかと不安になる。貧しいなら、明日は飢え死にするかもしれないと不安になる。

   人間に生まれた以上、この漠然とした焦り、すなわち不安からは逃れようがない。だから仏陀も悟りを求めて王宮を出た。

   人間には想像力という力がある。これは無い物を想像する、有る物のように想像する力だ。よくは分からないけど、人間だけの固有の力じゃないかな。

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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