病院だって利潤追求 でも院長、その「倫理感」大丈夫?

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事務長、「こだわる」ところはそこじゃないよ!

   事務長の論点は事前了解のあるなしにこだわっていたのですが、彼が本来気づくべき論点は、組織運営における利潤追求とモラルのバランスであるべきなのです。

   例え営利企業でも、利用者の立場や考え方を無視した利潤追求が先に立つなら「金儲け主義」として批判の目を向けられかねません。ましてや一般企業以上に社会性を帯びた免許業務である医療機関は、人一倍利潤追求とモラルのバランスには気をつけなくてはいけないハズなのに、彼がその点に気づくことはありませんでした。

   事務長は院長に報告を一蹴され、電話してきたのでしょう。すべては院長の経営者としての意識の問題です。電話で事務長には、利潤追求とモラルに関するあるべき考え方をお話しましたが、院長にそれが伝わったか伝わらずか、立ち止まって考えてみるということはなかったのでしょう。

   母が亡くなった日に、遺体の送り出しを看護担当の方々が立ち会ってくれましたが、担当医である院長の姿は「所要」ということでその場にありませんでした。

   マネジメントにおいて、利潤追求姿勢がモラル遵守を上回ることのないようにバランスさせることは、業種を問わず経営者が最も注意しなくてはいけないコンプライアンスであると、身をもって痛感させられました。コンプライアンスとは、単に法令違反がなければいいということではないのです。経営者は今一度、わが身を振り返ってみてください。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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