病院だって利潤追求 でも院長、その「倫理感」大丈夫?

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事件は母が亡くなる1週間前に起きた

   3日後、年末年始という特殊な時期でありながら無事、大部屋に移してもらうことになりました。他の個室利用者も大部屋移動を待っているという院長の話が本当なら異例の早さでした。恐らくは病院サイドから「うるさい家族」とでも思われたのでしょう。私としては個室への入院手続きから大部屋移動に至るこの段階で、病院経営姿勢として十分怪しいという印象を植えつけられてしまったわけです。

   事件は母が亡くなる1週間ほど前に起きました。病院の看護士からの電話で、「患者さんの状態が徐々に悪化し、看護上の必要から個室への移動をお願いしたい」との申し出でした。「よろしくお願いします」と、私は回答しました。

   その足で病院に行ってみると、呼吸器を付けるなどの特殊な処置をするでもなく、昨日までと何ら変わらない様子で母はベッドに横たわっていました。「なるほど、病院都合での病室移動か」と、腑に落ちました。

   ところが10日ごとの支払いの際に出される請求書を見ると、「特別室利用料」が計上されていたのです。「事務手続き上の間違いだろう」と受付に申し出ると、またも担当者では手に負えないと思ったのか事務長が出てこられました。

   「ご了解をいただいての個室利用はすべて有料となります」と言う事務長に、私は「看護上の必要と聞いたので、お願いしますとだけ答えました」と回答しました。すると事務長は困った顔をして、「院長と相談します」と言い残してその場を立ち去りました。

   家に帰ると、ほどなく電話がかかってきました。

   事務局長 「うちの方針で、差額ベッド代ご負担の了解をいただいていない方は個室に移設しませんので、看護士が電話でご了解いただいたという理解です」

   私 「電話で私が了解する前に『看護上の必要から』と私はハッキリ聞きました。厚労省の基準で『治療・看護の必要からの移設は病院負担』となっていたので了解したのです」

   事務局長 「うちは利用者のご了解をいただいての個室移設を徹底し、個室ご利用のすべての方から差額ベッド代をいただいております。法令違反はありません」

   遣り取りは、ラチがあきませんでした。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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