数字を出さずに、ESを書いてみよう
では、具体例2と3は、どうすればよかったでしょうか――。答えは簡単で、「数字をひっこめる」ことです。
具体例2は、数字をひっこめるだけでなく、ネタの変更も合わせて考えた方がいいでしょう。と言うのも、体育会系が練習はして当たり前ですし。それで練習時間の数字を出して、「さあ、具体的だ」とアピールすること自体が勘違い。それよりは、「後輩を指導した」「社会人の役員と折衝をした」とか、そちらのほうがまだましです。
え? それも体育会系なら当たり前?
いや、練習とは決定的に異なります。練習は、極論すればランニングなども含め、個人練習もあるはず。集団練習があるにしても、どうしても「好きでやっているだけでしょ」との反論に再反論しにくいネタなのです。
一方、後輩の指導、あるいは社会人との折衝であれば、人が介在しています。これは企業が「注目」するポイント。後輩への指導であれば、入社後に後輩の面倒見がよさそう、と想像できます。社会人との折衝であれば、これも入社後に顧客との交渉がどうなるのか、と想像できます。後輩指導や社会人折衝も、体育会系の学生からすれば当たり前、かもしれませんが、練習と違い、入社後にどんな社員として頑張ってくれそうか、色々と考えさせるネタでもあるわけです。
また、具体例3の場合は、「さまざまな努力」が具体的に何か、書くべき。前年度の問題点を洗い出した、そのうえで改善策を考えた、実行した......と書いていけばそれだけで説得力が増すはずです。
要は、具体的に必要なのは数字ではなく、内容なのです。
というわけで、今回は数字の使い方について見てきました。ESは、数字の不思議な力に惑わされないように書き進めましょう。(石渡嶺司)