「数字を使えば具体的」の具体的な話 【エントリーシート5】

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数字を出さずに、ESを書いてみよう

   では、具体例2と3は、どうすればよかったでしょうか――。答えは簡単で、「数字をひっこめる」ことです。

   具体例2は、数字をひっこめるだけでなく、ネタの変更も合わせて考えた方がいいでしょう。と言うのも、体育会系が練習はして当たり前ですし。それで練習時間の数字を出して、「さあ、具体的だ」とアピールすること自体が勘違い。それよりは、「後輩を指導した」「社会人の役員と折衝をした」とか、そちらのほうがまだましです。

   え? それも体育会系なら当たり前?

 

   いや、練習とは決定的に異なります。練習は、極論すればランニングなども含め、個人練習もあるはず。集団練習があるにしても、どうしても「好きでやっているだけでしょ」との反論に再反論しにくいネタなのです。

   一方、後輩の指導、あるいは社会人との折衝であれば、人が介在しています。これは企業が「注目」するポイント。後輩への指導であれば、入社後に後輩の面倒見がよさそう、と想像できます。社会人との折衝であれば、これも入社後に顧客との交渉がどうなるのか、と想像できます。後輩指導や社会人折衝も、体育会系の学生からすれば当たり前、かもしれませんが、練習と違い、入社後にどんな社員として頑張ってくれそうか、色々と考えさせるネタでもあるわけです。

   また、具体例3の場合は、「さまざまな努力」が具体的に何か、書くべき。前年度の問題点を洗い出した、そのうえで改善策を考えた、実行した......と書いていけばそれだけで説得力が増すはずです。

   要は、具体的に必要なのは数字ではなく、内容なのです。

   というわけで、今回は数字の使い方について見てきました。ESは、数字の不思議な力に惑わされないように書き進めましょう。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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