その10 「NO レジ袋」 【こんなものいらない!?】

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満員電車の「無言」も似ている

   スーパーのほかでも、無言の光景をちょくちょく見かける。例えば、満員電車に立って乗っている。電車が駅で止まる。僕が降りる駅はまだ先だから、僕はじっと立っている。すると、後ろから押してくる人がいる。スリだろうか? いや、そうではない。この駅で降りたいから、前にいる人を押しているだけなのだ。

   降りたいなら、「降ります」とか「すみません」とかひとこと言えばいいのに、何も言わない。無言で、ただひたすらに押す。人混みで肩がぶつかっても、「失礼しました」なんてことは言わない。無言の連中が目立つ。スーパーで買い物袋不要のカードを黙ってかごに入れるのと似ている。

   このカードにはまだ疑問がある。買い物袋不要の客には2ポイントをつけたり、2円負けたりするのは、結構なことのように思える。しかし、それは買い物袋をつけることをそもそもの前提にしているからである。話が逆ではないのか。

   資源節約を目指すなら、買い物袋をつけないことを前提にし、袋が必要な客からは2円なりを取るのが正しいやり方ではないか。現にそういうスーパーもあるし、そこには買い物袋不要のカードは置いていない。中国や台湾のスーパーやコンビニもそうである。

   買い物袋不要のカードは二重の意味で「こんなものいらない!?」のである。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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