「やり直し」英語のポイントは、受験英語を忘れることです。
「学校で学ぶ教科」としての英語ではなく、「実社会で使うツール」としての英語に徹底的にこだわりましょう。間違っても、受験勉強で使った参考書や「でる単(単語集)」に手を出してはいけません!
まず、トランプ大統領のツイッターをフォローしよう
「やり直し」英語を成功させるヒケツは、「生きた英語」にダイレクトに触れて「英語のおもしろさ」を知ることです。まず、「生きた英語」に慣れることから始めましょう。
学生時代に使った教科書やラジオ講座のテキストブックに掲載されている英語ではなく、ニュースやビジネスの場面で、リアルタイムに使われている英語に触れる習慣をつくります。
「生きた英語」のオススメは、「トランプ大統領の英語」です。
前回の「今週のニュースな英語」でも取り上げましたが、トランプ大統領は簡単な単語や言い回しを好んで使います。
前任のオバマ大統領はスピーチの名手でしたが、格調の高い単語を使うことが多く、正直、私にはレベルが高すぎました。その点、トランプ大統領の英語は、(内容の善し悪しはともかく)シンプルで分かりやすいことが特徴です。
しかも、いまや世界中の誰もが注目する人物ですから、彼のツイッターやスピーチは、生々しいほどの臨場感にあふれています。シンプルで分かりやすくて、英語のダイナミズムを体験できる「トランプ英語」は、「やり直し」に最適な教材です。
これを活用しない手はありません。
手始めに......
(1)トランプ大統領のツイッターをフォローする
トランプ大統領のツイッターをフォローしましょう。英語に慣れるためには、あれこれと手を広げるよりも、特定の英文や情報にコンスタントにふれる「習慣」が大切です。トランプ大統領はまめにツイッターを更新するので、多い時は1日に4~5回も英語に触れることができます。習慣化にはピッタリの「教材」です。
ちなみに、トランプ大統領のツイッターは、就任前から続けている@realDonaldTrumpと、大統領公式アカウントの@POTUSがありますが、ここでは更新回数が多くて本音が満載の前者をおすすめします。
トランプ大統領は早口じゃない
トランプ大統領の英語は、じつは「リスニング」にも向いています。
(2)トランプ大統領のスピーチを「リスニング」する
ニュースでトランプ大統領のスピーチを耳にして、「あれ、俺にも分かりそうだな」と思った方もいるでしょう。実際、トランプ大統領の英語は聞き取りやすく、発音にもクセがありません。
つい先日、ニューヨークから帰国した会社の同僚が、「ニューヨーカーなのに早口じゃない!」と驚いていたのですが、トランプ大統領はゆっくりと、スローテンポで話します。難しい言い回しを避けてシンプルな単語を繰り返す点も、「リスニング」に向いています。
ツイッターには、時折スピーチ映像がアップされていますし、ニュース番組で目にする(耳にする)ことも多いでしょう。
テレビやラジオでトランプ大統領の声が聞こえてきたら、「リスニング教材」だと思って集中する習慣を身につけましょう。
(3)「単語が一つでも分かればいい」と割り切る
どんなにトランプ大統領の英語がシンプルだと言っても、いきなり意味が分かるほどではありません。特に文字数に制限があるツイッターは省略した表現が多く、簡単そうに見えますが、じつはハードルが高いのです。私もざっくりとしか理解できないことがありますが、まったく気にしません。分からない単語を辞書で調べたりもしません。
ツイッターもスピーチも、目的は「慣れる」ことで「理解する」ことではないからです。「一つでも単語が分かればいい」くらいの感覚で続けることが大切です。
習慣的に接するうちに自然と内容が分かるようになりますし、ニュースになる発言は、後で日本のメディアが解説をしてくれます。
意味を理解することよりも、英語に慣れることが目的だと割り切って、毎日続けることを心がけましょう。(井津川倫子)
【今週のニュースな英語】 ~アカデミー賞の「the back‐up envelope」騒動~
世界中の注目を集める米アカデミー賞の授賞式で、受賞作が間違えて発表されるというハプニングがありました。オスカー作品賞の発表で、受賞作の「Moonlight」ではなく「La La Land」の名前が読み上げられたのですが、スタッフが他の賞の「the back‐up envelope」(予備の封筒)を間違ってプレゼンターに渡してしまったことが原因でした。
バックアップという単語は日本語でもよく使いますが、なるほど、封筒の「予備」を「back‐up」と言うのですね。それにしても、トラブル回避のための「the back‐up envelope」がトラブルを引き起こすとは皮肉なものです。
ちなみにこのスタッフは、直前に舞台裏でエマ・ストーンの写真を撮ってツイッターにアップしていたことが判明。すぐに削除したのですが、「殺してやる」という脅迫状まで届いているそうです。ツイートするヒマがあったら封筒を確認すればよかったのに......